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近現代史・地政学(My favorite notes)

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近現代史・地政学をテーマにしたお気に入り記事をまとめています。スキさせて頂いただけでは物足りない、感銘を受けた記事、とても為になった記事、何度も読み返したいような記事を集めました…
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#在外公館

在外勤務で学んだこと(第4回)

第3回では、領事関係のうち、事件・事故に係る安全対策及び邦人援護・保護教務についてについてお話ししました。   下図は前回お示しした脅威事象と対策の相関関係を表したものですが、今回は上段の緊急事態対策及びオペレーションの部分について概説していきます。 1 緊急事態とは 在外公館では、緊急事態を戦争、内乱、クーデター、暴動、テロ、大規模な事故や災害等、自国民に対する脅威事象と定義し、領事部がその対策を担当しています(在外公館の占拠、在外公館に対するテロ、要人の誘拐等、在外公館

在外勤務で学んだこと(第3回)

第2回では、領事関係のうち、日本人に対する各種行政サービスの提供と、日本に渡航する外国人への査証発給業務についてお話ししました。   第3回では、治安情報に基づく安全情報の提供や事件・事故被害者に対する援護・保護業務、並びに大規模災害・騒乱・紛争等の緊急事態発生時の自国民保護活動等、いわゆる「在外における公安系のお仕事」について概説していきます。   1 海外渡航・在住の日本人数 近年の情報通信技術の発達は目覚ましく、海外との距離はより一層近いものになりました。   しかしな

在外勤務で学んだこと(第2回)

第1回では、外務省や在外公館について概説した上で、私は「警備対策官」兼「領事」として勤務したとお話ししました。   第2回となる今回は、領事関係のうち、日本人に対する各種行政サービスの提供と、日本に渡航する外国人への査証発給業務について概説します。   1 領事制度の歴史 そもそも領事とは、外国において自国民に対し民事・刑事の裁判権を行使するために発生した制度で、幕末に日本が欧米列強と締結した条約では、欧米諸国に治外法権としての「領事裁判権」が認められ、日本で罪を犯した外国人

在外勤務で学んだこと(第1回)

15年ほど前の話ですが、外務省に出向して3年ほど在外公館で勤務しました。   赴任先が後発開発途上国(LDC:Least Developed Country)だったので、外交官という優雅な響きとは裏腹に仕事や生活において大変な苦労があり、良い事も悪い事も全部ひっくるめて1冊の本が書けるくらい様々な経験をしました。   この勤務・生活を通じて学んだことについてシリーズでお話ししていきたいと思います。   第1回では、在外公館の概要についてお話します。   1 在外公館(Over