見出し画像

芸術学コース レポートを書いてみる②−1「作品課題」選び方

レポート課題の中に、芸術「作品」について書くことがテーマとなることが多くあります。レポートのテーマとして、「作品」意外ではどんなものがあるかといえば、「文献」そのものについて批評することや、「芸術理論」について考えるなど、多岐にわたります。レポートを書くことに慣れていない頃は、やはり、「作品」という具体的なものを前にするのが書きやすかったかなと思いました。

「作品」を挙げてレポートにする、と言っても、どのような観点から書くかは課題によって異なるので、まずは、課題の精読で「何を論じるのか」をしっかり捉えます。これは、考えながら、書きながら、書き終わってからも見直して、擦り合わせる必要があります。私の場合は、たいてい、書いているうちにその作品に「愛」が生まれて、暴走しがちになり、道をはずれていることも多かったので。

ともあれ、まずは、書く作品選び。これは、美術が好きで学んでいる人にとってはいくらでも時間をかけられてしまうところかもしれません。あれもこれも素敵でキリがない。
でも、選ぶ必要があり、その際に、私が気をつけるようになったポイントをお話しします。

まず、①自分が今まで知らなかった作品、作家。②今まで知っていたけれども、新しい評価に気付かされた作品。③本物を見られる作品。この3点を作品選びの基準にしていました。

①今まで知らなかった作品。
「知らなかったことを知る」ことが学ぶことの醍醐味だとすれば、やっぱり、知らなかった作品や作家について調べてまとめる作業は心躍ります。レポート提出を楽しむための意識の持ち方のように思います。
もちろん、以前から魅力的であると感じていた作品を深く調べるというのもあると思います。ただ、提出期間と文字数を考えるともったいないような気がします。その作品は卒論にとっておくのもいいかもしれません。

②今まで知っていたけれど、新しい評価に気付かされた作品。
作品や作家について、授業やテキストで、今まで思っていたこと違う評価を学ぶことがたくさんありました。それを深める、というのは刺激的でした。おそらく、私の知識不足や思い込み、印象で抱いていた先入観が覆されるのも学ぶ面白さです。多くの書籍や文献にあたり、他の評価を擦り合わせるという作業は、基本的には「作品レポート」の要なので、ここから入るというのは効率的とも言えます。先に挙げた①とは矛盾していて、こちらは「知っていた作品」になるわけですが、できるだけ有名作品は避け、どちらかというと「変なの」とか「理解不能」とかと思っていたものなどを選んだりしました。

③本物を見られる作品。
ホームページサイトで見られる作品をテーマにすることももちろんいいのですが、やはり、実物がもたらす臨場感は違います。
私は上野や六本木までは1時間半くらいのところに住んでいて、すぐに行くには遠いけれど、行かれないわけではない、という環境にいます。でも、仕事やら家庭での雑事があり、オンライン上で何かを済ませることが多いです。作品レポートもそのように進めたものもありますが、結局、実物を見て書いたもののほうが自分でも納得のできるレポートになっていました。
そのため、レポート課題をまずよく読んで、その指示を確認してから、会期中の展覧会へ行き、そこからテーマとする作品を選ぶ、ということが多かったように思います。そして展覧会カタログはレポートには最強の資料です。

【今日のまとめ】
作品課題のレポートは楽しいです。まずはここから。
その作品のプロフィールを作り、どう評価されているかを調べて、自分はどう評価するかを書くわけです。ちょっと美術批評家になったような気分です。そして、レポートを書く機会を手に入れると、美術館に行く意義が変わってきて、作品への観点も全く違ってきます。それが私の感じる自身の大きな変化、芸術を大学で学んでよかったと思う一番の理由かもしれません。
さて、レポートを書くことに戻ると、おそらく、「評価する」と「感想文」の違いが最大の難関と思っていたことがあったように思います。結果、私は、「感情は抜く」ということを意識しました。「愛」を隠して冷静に振る舞う、みたいな感じでしょうか。またの機会に事例などとともに書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?