四十杯目「野戦の宿営所」
「しかしだねえ、きみ……」大佐が言った。
彼はその屈強な見た目とは裏腹に繊細な人物だった。
野戦の宿営所。
持参したいくつかの私物の一つである小さなティーカップが、肥えた芋虫のような彼の指先に絡め取られる。
この頃の彼は、そのことについての振る舞いを決めあぐねていた。つまり、自らの自覚する繊細さと、他者が自分に抱く屈強さについての落とし所についてである。
例えば、彼は葉巻の匂いを嫌った。飲酒もあまり好まず、酔って裸になったり、踊ったりするようなことも(他人がやっていたとしても)、あまり愉快には感じなかった。
しかし、彼は人と話すことを好み、さらに言えば、人と深く話すことを好いた。そのためには、やはり、葉巻を喫したり、酒席を共にする必要があったのだ。
野戦の宿営所に朝日が差し込む。
草の匂い。
皆は眠りこけている。小さなティーカップに注いだ褐色の液体を取り込む。喉が脈動する。屈強な肉体。彼は日課としているトレーニングを始める。
「しかしだねえ、きみ……」
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(四月一)
君は友の、澄み切った空気であり、孤独であり、パンであり、薬であるか。みずからを縛る鎖を解くことができなくても、友を解き放つことができる者は少なくない