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☕️こおひいのおと〜珈琲を飲んで浮かんだ散文🖋

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毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします
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#散文

五十五杯目「博学なオウム」

そのオウムは博学で いろんな話を知っていたから 終ぞ、僕の言葉を真似ることはなかった 毎週…

四十八杯目「考える(ための)小径」

できるだけ見通しが良く ささやかな蛇行があり 緑と鳥と鱗雲 それに少しの人 毎週末の朝、珈…

四十七杯目「優しい詩」

誰かが救いの手をキミに差し出している。 ソレは、ネコやカメやショクブツかもしれない。 分…

四十四杯目「幻のキャンデー」

 透明だが、透けてはいない。  (古い建物の手吹きの窓硝子のような)  甘いが、決して甘…

四十一杯目「サバラン」

冬の初めの朝の匂いが好きだ。 結論のない、揺蕩うだけの物語が好きだ。 それから、 サバラ…

四十杯目「野戦の宿営所」

「しかしだねえ、きみ……」大佐が言った。  彼はその屈強な見た目とは裏腹に繊細な人物だっ…

三十九杯目「プレイバック」

時が止まった。 ボタンを探す。 まただ……たまにこういうことがある。 時が止まるのは決して悪いことじゃない。問題は、ソレがいつ訪れるのかわからない、ということなのだ。 ボタンを探す。 ソレはボタンじゃない場合もある。 スイッチ、レバー、ペダル。 オンとオフを司るモノ。 何かを委ね、何かに委ねられている。 プレイバック 毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。 優しい朝を迎えましょう。 フォローもぜひ。 (四月一)

三十七杯目「RPG」

木の皮を剥がすと、サブレーみたいな感触が残った。 齧る。 ナッツのような香り、仄かな油分。…

三十五杯目「記憶のカメラ、カメラの記憶」

「そういえば、お前に似た東洋人を乗せたことがあるよ」  多分、運転手はそんなことを言った…

三十四杯目「方程式」

木を隠すなら森の中、 森を隠すなら山の中、 山を隠すなら海の中、 海を隠すなら空の中、 空を…

三十二杯目「まえがき」

東京を歩く スナップ写真を撮る 裏に詩を書く ジップロックに入れる 毎週末の朝、珈琲を飲ん…

三十一杯目「上質さとは……?」

こおひいをマグロに喩えたという話を聞いたことがない。 濃厚なテクスチャー、プリプリとハリ…

三十杯目「グッドバイ・スワロウテイル」

街の喧騒を少しだけ離れたところを歩いていた。 大きな駅が横たわり、何本もの電車が出発して…

二十九杯目「チェリストのトモダチ」

チェリストのトモダチがいる。 軽いが印象的な余韻のある香水を利かせ、 小さい体にいつも大きなケースを背負っている そのシルエットは丸ごと楽器のようで、 だから、彼女がそれを演奏している姿には驚いた ケースを開いたときのように二人は蝶番で繋がっていて、 あの香水のような音符をホールいっぱいに響かせていたから 毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。 優しい朝を迎えましょう。 フォローもぜひ。 (四月一)