『生活』=『生きる、活動』を支える仕事をしています
踏み切りで会った四角い男
10年以上前のことです。踏み切りの一時停止違反で警察に車をとめられました。
実家に向かう通い慣れた田舎道です。その踏み切りは単線で、見通しが良いこともあって、確かにゆるゆると徐行になっていました。
パトカーで追ってきたのは、ひとりの大きな警察官でした。職業を聞かれて、専業主婦ですと答えました。
「ああ、はたらいてないの。」
聞こえなかったことにしましたが、渡された書類には無職と書き込みました。
警察官は、用紙を受け取って、目を通しながら重ねて言いました。
「本当は、はたらいてるんじゃないの?よくいるんだよね。職場に知られたくないから無職だって言う人。」
男の顔を、運転席から見上げました。
50代に見える全体に四角い印象のそのひとは、事務的に私の職場を知りたかっただけなのでしょう。
じっと見ていたら男と目が合いました。
男が口を動かして何か言い始めたので、それに被せて答えました。無表情に普通の声で。
「私は専業主婦なので、無職で、はたらいていません。」
そのあと男が私と目を合わせることは、ありませんでした。
はたらくとは
四角い男は、仕事をしてお金を受け取ることを『はたらく』と定義していました。
それなら、専業主婦は仕事をしていないし、はたらいていません。
普通なら聞き流せるのですが、そのときは虫の居所がよくありませんでした。
親しくもないひとに話したくない事情から寝不足で、妊娠していて、6才の長女をチャイルドシートに座らせていました。不仲な両親の様子をみるために、実家に行く途中でした。
私の日々の行いは金銭の授受が発生しません。
四角い男に腹が立ったのは、実家に行く前にスーパーで買い出しして、昼ごはんにあれとあれを作ってみんなに食べさせてと、頭の中が忙しかったからです。
私が考える『はたらく』とは、人や事象にはたらきかけることです。
ごみ捨てに行く途中に落ちていたレシートを拾ったり、荷物が重くて階段で立ち止まってしまったお年寄りを手伝ったり。
災害現場のボランティア活動も、noteの企画運営も、趣味サークルの運営も、人のはたらきです。
#私にとってはたらくとは
『私にとって』はたらくとは、生活です。
生きる、活動です。
家族に食べさせて、家族を休ませることです。
家族をいってらっしゃいと送り出し、おかえりなさいと迎えます。
登校も出勤もあたりまえのことではありません。心と体の健康を保った上で、頑張る力が必要です。
だれもが病気になるし怪我もするし精神を病みます。私は、支え合うために家族という集団を作って、守ったり守られたりしています。
夫が単身赴任7年目で、家事と稼ぎが完全分業です。私は、外貨を稼がないので、化粧品はドラックストアのハトムギシリーズ、美容院は年に3回くらいスーパーの横についてる予約のいらないところ、服は生協のカタログです。
時代遅れで、ちびまるこちゃんのお母さんがひとまわり太ったみたいな身なりの自分のことを、まあ、いっかとおもっています。
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