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『うっせぇわ』の「あなたが思うより健康です」は意味不明な主張ではない

うっせぇわは賛否両論の曲です。
意見は色々あると思いますが、中でも私が気になったのが”健康”という歌詞に対する指摘です。

うっせえ うっせえ うっせえわ
あなたが思うより健康です

社会に反発する内容の歌詞に、唐突に現れる”健康”の二文字。論理的に文章を読み解こうと思っても前後の文脈がつながっておらず、あまりの飛躍についていけなくなる人もいると思います。
わかりやすい解説だとchokudaiさんのツイートが参考になります。

同感です。まさにツイートにある通り論点が違ってみえるのです。
その違和感が気になって曲に入り込めないというのはおかしなことではありません。

しかし多くの、特に若い人がこの曲に共感しているのも事実。
また歌詞の内容も”健康”の部分以外は社会に対する反発でテーマが一貫しています。”健康”だけテーマからずれてしまったのでしょうか。なぜこんなに違和感があるのでしょうか。
この疑問を「不完全な歌詞・未熟な歌詞だから」として飲み込むのは簡単ですが、それではあまりにも若い人に対する敬意が足りないように感じます。
(念の為ですが、chokudaiさんが不敬であると言っているわけではありません。他のツイートを見る限りむしろ若者寄りの方だと思っています)

そこで、逆説的に考えてみましょう。
つまり、”健康”は若者にだけわかる”社会への反発”であると仮定してみます。

インターネットは不健康

ここからは私の推測になります。
”健康”が意味するのは「インターネットばかりする若者を”不健康”であると批判する大人への反論」です。

うっせぇわはインターネット文化から生まれた音楽です。
作詞作曲のsyudoさんは中学生の頃から、ボーカルのadoさんに至っては小学生の頃からVOCALOIDに触れニコニコ動画で音楽を聞いていました。
今の若者をインターネット文化から切り離すことはできません。

ではそんな彼らを社会がどう見ていたかというと、不健康な存在として見ていました。
子供がパソコンに張り付いて動かない、何をしているかもよくわからない。インターネットがない時代に育った人からすると不健康に見えても仕方がないでしょう。実際に不健康だったかもしれません。
平成の時代を思い出してください。インターネットは暗い部屋でパソコンの画面に照らされた不健康そうな若者がニヤーっと笑っているイメージで語られていました。
当時はそんな風潮が確かにあったと思います。
しかし子供からしたら自分が好きなものを"不健康だ"と否定されるのです。たまったものではありません。

そんな彼らが成長して「うっせえ うっせえ うっせえわ あなたが思うより健康です」と歌うのです。
不健康と否定された世界から生まれた歌が大ヒットして街中で流れる。すごい皮肉ですよね。

まとめ

これは私の推測なので、この考えが正しいのかはわかりません。もしかすると”インターネット”を”勉強”に置き換える方が歌詞の内容的にしっくり来るかもしれません。
ですが、こう考えると辻褄が合います。

特に歌のような、限られた文字数の作品では推測をすることでしか答えを導き出せない場合があると思います。
推測するにも同じような体験をしていないと難しい場合もあります。
私の考えが妥当かどうかはさておき、できれば多くの人にこの考察が広がってほしいと思います。
そしてこれが、自分の理解できないものにも意味があるのではないかと考える切っ掛けになってくれればと思います。

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