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PEOPLE1の歌詞を読み解く④〜ゴースト〜

PEOPLE1の歌詞は意味深で、ちょっと難しい。
彼らは何を歌うのか、それを考察するのがこのシリーズ。

最終目標は”常夜燈”の歌詞を読み解くことだ。
今回はPEOPLE1の「ゴースト」を読み解いていく。


シリーズを最初から見たい人は以下のリンクからどうぞ

これまでの考察

これまでの記事で考察した内容は以下の通り。

・音楽に別れを告げる
 →
PEOPLE1は音楽に対してコンプレックスを抱えている。
  そのコンプレックスに折り合いをつけるために
  音楽に別れを告げようとしているのではないか。

・大人になる
 →PEOPLE1は大人にならなければいけないと感じている。
  大人になるとは、音楽に対する夢や憧れを捨てて
  苦しみや孤独から開放されること。

これらの考察にピンとこない人もいるだろう。

そこで「ゴースト」の歌詞に上記の考察を当てはめて考えてみたい。

もしこの考察がそれなりに的を得ているなら
他の歌にも当てはめて考えることができはずだ。

考察

さっそく歌詞を見ていこう

君はゴースト 胸躍る夜の亡霊
騙しててごめんよ 語る未来は無いのだ

君はゴースト 売れ残る僕の願望
邪魔しててごめんよ 戻る兆しは無いのだ

嫌だったことが少しずつ出来るようになる
そのたびに少しずつ透けていった
そうかそうだ 君はゴースト
愛すべき夢想と身に余る孤独はここに置いていくがいい

蒸し暑い午前3時 台本に無い場面の難儀な亡霊よ
さよならヘイヘイヘイ

君はゴースト 口籠る夜の亡霊
伝えてみたい 触れてみたい

言いたいことは山程あるのに
聞いてほしい話はすっかり無くなった
それはそうだ ここは喜劇悲劇の温床
理解など君はしなくていい

書き割りみたいな 鮮やかな日々のありふれた感傷よ
さよならヘイヘイヘイ

君はゴースト 胸踊る夜の亡霊
騙しててごめんよ 語る未来は無いのだ

僕は大嘘つきだ 海を飛ぶ夢を見た
隠しててごめんよ 戻る兆しは無いのだ

ひとことで言えばこの曲は「ゴーストに別れを告げる歌」だ。
では「ゴースト」とは何か。

ここで思い出してほしい。

PEOPLE1が別れを告げる相手といえば誰か。

答えは「音楽」であり「音楽に対する憧れ」だ。

”さよならミュージック”でも歌われていたように、
PEOPLE1は音楽に別れを告げようとしている。

この考え方が妥当なのかどうか
「ゴースト=音楽に対する憧れ」と仮定して歌詞を詳しく見ていこう。

君はゴースト 胸躍る夜の亡霊
騙しててごめんよ 語る未来は無いのだ

君はゴースト 売れ残る僕の願望
邪魔しててごめんよ 戻る兆しは無いのだ

ゴースト=音楽に対する憧れとすると、
この部分の歌詞はよく理解できる。

自分が大好きな音楽だから、ゴーストは胸躍る存在。
しかし同時に、ゴーストは売れ残る存在でもある。

どれだけ憧れても作った音楽は売れないという
悲しい現実が見え隠れする歌詞だ。

そんな現実がコンプレックスとなり
音楽に対して素直に憧れを抱けなくなった。

だから「騙してて、邪魔しててごめん」と謝るし、
自分の音楽の才能の限界が見えているから未来も戻る兆しもないのだ。

嫌だったことが少しずつ出来るようになる
そのたびに少しずつ透けていった
そうかそうだ 君はゴースト
愛すべき夢想と身に余る孤独はここに置いていくがいい

「嫌だったことが少しずつできるようになる」
これは「大人になる」と言い換えると意味が通じる。

大人になり、現実を知るにつれて
段々と音楽に対する憧れが透けるように薄くなっていった。

「愛すべき夢想」「身に余る孤独」
ここもこれまでで考察した”大人になること”で説明がつく。

周りが大人になり憧れを捨てる中、
音楽を諦めない自分はどんどん孤独になっていく。

「あいつはまだ音楽なんてやっているのか」「大人になれ」
そんな言葉に従うことが”大人になること”だ。

大人になれば「愛すべき夢想=音楽」を捨て去るかわりに
耐え難い孤独も捨て去ることができる。

蒸し暑い午前3時 台本に無い場面の難儀な亡霊よ
さよならヘイヘイヘイ

夜中ほど自分の気持を抑えるのが難しくなる
音楽に対する憧れを「亡霊」を翻訳するのは言い得て妙だ。

〜中略〜
書き割りみたいな 鮮やかな日々のありふれた感傷よ
さよならヘイヘイヘイ

かなり自虐のはいった箇所だ。

自分の音楽への憧れは鮮やかだが安っぽく
「ありふれた感傷」でしかない。

僕は大嘘つきだ 海を飛ぶ夢を見た
隠しててごめんよ 戻る兆しは無いのだ

「海」とは「音楽の世界」のこと。
もっと具体的に言えば「音楽業界」だろう。

きらびやかな「音楽の世界」を優雅に飛べると思っていたが
実際にはそんなことはなかった。

ちなみに音楽を海に例えるのはこの曲が初めてではない。
”さよならミュージック”でも海の例えが出てきている。

まとめ

一通り解説してみたがどうだろうか
それなりに説明がついたのではないかと思う。

すなわち、PEOPLE1は
・音楽との別れ
・大人になること
の2つを歌っているのだ。

一つ疑問なのは、
PEOPLE1がなぜそんな考えを持つに至ったか

彼はまだ大学生のはずである。
ちょっと諦めるのが早すぎるだろ。

次はそろそろ大御所のフロップニクに手を出してみようと思う。

フロップニクは難解な曲で、正直半分くらいしか解説できない。
言葉遊びや解読不可能なワードが多すぎるのだ

ただ、物事の半分を理解できたら十分という考え方もできる。
どうせ1から10まで理解できることなどそう多くないのだ。

しかも、フロップニクはMVが良いのと曲調が明るいので
内容を勘違いしている人が多い印象がある。

実はコンプレックスを赤裸々に歌った
苦しみの歌だということを知ってもらえれば嬉しい。

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