見出し画像

ただ生きるんじゃなくて、豊かに生きたい

わたしの生活はシンプルだ。もとから物欲が少ない方だが、ひとり暮らしを始めた頃から、それまで以上に生活に必要なものしか買わなくなった。だから部屋はとても質素。でも、それが嫌いではない。

そんなわたしだが、今無職になっているので、財布のひもがが一段と固くなっている。

つい先日、コミュニティーをきっかけに出会ったチカさんに会った。ちょうど1年前の今頃に出会った彼女だけど、最近は月1ペースで会っている。コミュニティー仲間というより、もはや友達。

わたしたちはいつも突然会うことになる。前日や当日に「会いたい」「わたしも」といったやり取りがあり、まるで磁石が引き寄せられるように自然と予定が決まるのだ。

今回もそうだった。それがわたしにはありがたい。その日までだるい日が続いていたから、「11月はもう会えないかも」と諦めていたから。でも、急に会えることになって、うれしくて思わず小走りで待ち合わせ場所へ向かった。

待ち合わせ場所に着いた。わたしは前月に行ったハノイで買っていたお土産を渡したら、チカさんもわたしに花束をくれた。「退職祝い、誕生日、クリスマス。 いろいろ兼ねて!」と笑顔で。急に会うことになったのに、こんな心遣いができるなんて粋すぎる。そして素直にうれしかった。花束なんて、いつぶりだろう。

「人にプレゼントをするのが好き」とチカさん。プレゼントをするのが好きだとか嫌いだとか、そんなこと、わたしは考えたこともなかった。

別れたあともラインが続いた。話の流れでチカさんからサンボマスターの『花束』という曲を教えてもらい、帰り道に初めて聞いてみた。

歌詞を読んで、励まされたような気持ちになって泣きそうになった。
(歌詞を全部載せたいけど、1番の特にグッときたところだけ抜粋)


この花束を あなたに贈りたいんだ

たくさんのさびしさ悲しさを 抱きしめたけど 今日から変わるの

この花束を 今すぐ届けたいんだ

アスファルトの固さを つき破りだして のびてく草木のように 強い君だったはずさ
ボクたちは たくさんの捨てちまいたい 夜を数えたけれど 今日から変わるの

信じてんぜ君を だからあなたに贈りたいんだ 花束 花束 いろんな色の
くよくよするなよ そう昔から気づいてた あなたは あなたは ぬくもり取り戻せる人

花束とこの歌のセットでのプレゼントだったのかと思った。

帰宅後、さっそくこの花束を部屋に飾った。その瞬間、殺風景だった部屋に彩が加えられた。花束1つでこんなにも変わるものかと驚いた。そして同時に、心もホワっとした。「パっと明るくなった」とかそんな単純なものじゃなくて、体が冷え切った状態で湯船に入るあの瞬間に感じられる「ホワっと」。

こたつからの眺め

「人にプレゼントをすることが好き」。そんなことをさらっと言えた彼女がとってもすてきだなと思った。

必要か必要じゃないかだけで取捨選択するのって、ちょっと退屈かも。必要じゃないものが生活を彩ってくれるんだ。「ただ生きる」ではなくて、「豊か」に生きたい。そして、その「豊かさ」を分けられる人にわたしもなりたいと思った。

Thank you.豊かな人。

▼以前、彼女にインタビューしてます。
よければ読んでみてください。


いいなと思ったら応援しよう!