短編「それを人は……」(362文字)


巨大隕石の激突で、人類は全滅し、

僕と、美少女の吸血鬼だけが、生き残った。


僕は、美しく、可憐な彼女に魅せられている。

しかし、彼女に近づくと、僕は吸血鬼にされてしまう。

それは、こわいことだし、何より人類が滅亡してしまう。

それは、いやだ。


彼女は、僕の血を吸いたくてしかたがない。

だが、僕の血を吸ってしまったら、人間はもういなくなってしまうのだ。

彼女は、人間ではない僕には興味はない。

彼女の存在理由、そして唯一の楽しみは、人間の血を吸う事であって、

人間のいない世界に、彼女は耐えられない。


僕は彼女に噛み付かれないように、彼女は僕への衝動を抑えるために、

お互い惹かれあいながらも、近づくことができない。

できるのは、遠くからお互いを見つめ合うことだけだ。


それでも、僕たちは、いつ、どんなときでも相手をおもい、

一瞬でもわすれることはない。


(了)


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