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我が家の定番の卵料理。それはスクランブルエッグだった。

卵3個をボウルに割入れ、菜箸でとく。良く混ざったら熱したフライパンに卵を流し込む。

買ったばかりのテフロン加工のフライパンは、油をひかずとも、焦げ付くことはないだろう。そもそも太りやすい家系なんだから、油は控えなくてはならない。

ジュージュー。ジュージュー。

ほどよく火が通ったら、フライパンの中をぐるぐるかき混ぜる。

おいしそうに湯気が立ちのぼる。黄色い、そしてところどころ白い、柔らかそうなスクランブルエッグ。

火を止めて、皿に乗せる。ケチャップをつけて食べるのが定番だ。

塩、胡椒は必要ない。

ごはんと一緒に、食べよう。そうだ、ごはんにはふりかけをのせてね。

私が30年近く過ごした実家で食べた唯一の卵料理、それがこのスクランブルエッグだった。

結婚して、他人と暮らして、初めてスクランブルエッグには牛乳を入れると美味しいことや、オムライスやオムレツを自宅で作れることを知った。

鶏肉はむね肉より、もも肉のほうが柔らかいこと。

牛スジという肉の部位の存在すること。

角煮というが人気のある肉料理で、結構簡単につくれること。

もしかしたら、知らないまま死んでいたのかもしれないいろいろなことを知った。

知らないほうが幸せなこともある。

知らなくてもいいこともたくさんある。

それでも、知ってよかったことや、その瞬間は心乱れても、結果的によかったこともたくさんあり、

無駄なことなど、何もないのだと思う。

お雑煮の餅にあんが入っている地方があるらしいこと。

毎日旅館みたいな朝食を食べている人がいるらしいこと。

いろんなことを知りたくて、また今日も生きる。

(736文字)

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