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食卓の向こう側(10完)生教育 親から子へ語ってほしい

西日本新聞の連載「食卓の向こう側」の最終回、舞台は実家がある福岡県行橋市。。。


十月、福岡県行橋市のある小学校の授業参観後の学習会。

「『センセー、小学生とセックスするときもコンドーム使わんといけんの?』。中学生が本気で聞いてきます」

「親子の会話が少ない子ほど、初性交年齢が低く、出会いから性交までの期間が短い。そして人口妊娠中絶を繰り返す。東京だけじゃない、行橋も同じです」

助産師の内田美智子(46)の話に、約七十人の父母の顔色が変わった。

内田は三人の子の母親。夫と同市で産婦人科医院を経営する傍ら、十年ほど前から、学校などで講演を続けている。

幼い園児や児童には「あんたたちもこうしてお母さんから生まれてきたんよ」と出産の様子を。思春期の中学生、高校生には大人たちの実態を。大人たちには若者たちの実態を。

性の話が中心だが、いわゆる性教育とは違う。テーマは「命の尊厳」。内田は自ら語る内容を「生教育」と呼ぶ。


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性の乱れが若年化している。中絶件数を十年前に比べると、二十歳以上は減少しているのに、二十歳未満は五割増。初性交経験年齢も低年齢化の一途をたどる。

さらに深刻化なのが、性感染症者の急増。

これまでの細菌性の梅毒や淋病(りんびょう)ではなく、発見しにくい上に治りにくいクラミジアやエイズ、B型肝炎などウイルス性の病気が増えており、知識が乏しいままの性交渉や一対一ではない多様な性関係が伝染に拍車をかける。


福岡県内のある婦人科医は「一人の男子高校生をめぐり、同じクラスの女の子が芋づる式に治療にきた」という。

「女性の性の乱れは食生活がかかわっている」と指摘するのは、北九州津屋埼病院青春期内科医師の森崇 (しゅう)。

根拠は脳の構造。性欲中枢のある視床下部には食欲中枢もある。ストレスなどで食欲中枢がダメージを受けると、食行動とともに性行動も影響を受けてしまう。

特に女性の場合は視床下部に女性ホルモンをつかさどる機能があるため、影響は大きくなる。

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対策はあるのか?

内田は「教育こそ、最良にして唯一のワクチン」と言う。生と性に対する正しい知識と自我の確立、そして「私は望まれて生きている」という自己肯定感。

「どんなにつらいことがあっても、自分の居場所さえあれば、子どもは乗り越えていく。それをはぐくむのが家庭の食卓」。

内田の講演の始まりは妊婦の母親学級だった。目前に出産という”大仕事”があるだけに、命への関心は高いが、それでは遅すぎる。

OLに話したが、それでも手遅れ。学生、生徒、児童、園児と対象を広げていくうちに、食卓がキーポイントであることに気づいた。

「出来合いの料理もたまにはいい。でも、それだけだと、親から子に教えられるものは何もない。一日三回、一年では千回以上、すごい力を持っている。まだ間に合う。今できることをやってあげて」

解決法は日常の暮らしの中にしかない、と内田は思う。

=おわり

(この連載は「食 くらし」取材班の編集委員・佐藤弘、文化部・潮田芳久、社会部・重岡美穂が担当しました)

「いただきます」を言う子は生活全体が良好

「食生態学実践フォーラム」(東京)が全国13都道府県の乳幼児5398人を対象に調査。

「いただきます」「ごちそうさま」と食事のあいさつをする子は、そうでない子に比べて、肥満どや排便、就寝時間、表情など食生活全体が全ての面で良好だった。


転載終わり


高校一年の頃、同じテニス部の同級生が妊娠、彼女の中絶費用のためにカンパしてと集金袋が回ってきた。

当時の私にとっては、かなりショッキングなできごとだったから、いまだによく覚えてる。彼氏もいなかったし…

「え、妊娠??」

それ以来、みんなの彼女を見る目が一気に冷たくなっていった。


「女性の性の乱れは食生活がかかわっている」

もしかしたら彼女の家の食卓には、温かい家庭の味はなかったのかも

寂しげな顔をした彼女を思い出しながら、ふと思った。


子どものころ親が一緒に料理をして育った子は非行に走らない、と聞いたことがある。


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母はあまり料理が得意じゃなかったけど、私は高校生の時はお菓子作りにはまり、何かしら作っていた。短大の頃つき合ってた彼(のちに最初の旦那となる)には、毎日手作りのお弁当を届けていたし…

今も昔も、変わらず愛情表現ができるものが料理なのかもしれない。



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