見出し画像

2020記事まとめ(3/5):問題解決スキルのまとめ

2020年のまとめ記事の第三弾です。

第二弾では汎用ビジネススキル(会議術、資料作成術、プロマネ術)についてまとめましたが、第三弾では、戦略コンサルタントの要である問題解決スキルについての記事をまとめておきます。

はじめに(1/2):扱う問題

問題解決の起点となるのは「問題設定」です。問題を設定しなければ問題解決はできません。

戦略コンサルタントはクライアントサービスなので、クライアント企業が抱える何らかの問題(経営課題や事業課題)を扱います。扱う問題は、クライアントの課題やイシューによってさまざまですが、その問題の種別はいくつかに分けられます。そのあたりについてこちらのエントリーでまとめました。

扱う問題が設定されれば、その後の問題解決のステップは次のとおりです。

1.論点設定
2.仮説構築
3.解法の設計と仮説検証

この後、この順にそれぞれのステップのポイントを関連記事とともにまとめます。

はじめに(2/2):問題解決の土台となるロジック力

各論に入る前に、すべてのステップを推進する力となるロジカルシンキングについて言及しておきます。

論理的思考力のことを「ロジック力」と称して、
・ロジック力には3つのレベルがあること
・各レベルによって難易度・希少性が変わること
を記事にまとめました(2回にわけて論じています)。

こうしたロジック力は、問題を分解・構造化したり、仮説を構築する際のベーススキルとして戦略コンサルタントは使っています。特にレベル2、3ができるようになると、問題解決を強力に進めることができます。

1.論点設定

戦略ファームが扱うクライアントの問題は非常に大きな問題であることが多いです。問題の抽象度やスケール感が大きすぎて、その問題を真正面から解きにいくのは難しいです。

そこで、問題をいくつかの小さな論点に分解します。中世の哲学者・数学者のデカルトも「困難を分割せよ」と説いていますが、まさにこれと同じようなことをするわけです。大きな問題も、小さな問題・論点に分解することで解きやすくなるし、仮説も立てやすくなるというわけです。
(余談ですが、大学入試の数学の問題で「小問」というのがあったと思います。あれも、一見解くのが難しそうな問題(大問)を、小問に分解することで解きやすくしていると言えます)

そして、論点というのは、絶対に外してはいけないものです。論点をひとたび外すと、その論点に答えを出すための思考や作業がすべて水の泡になります。

戦略コンサルティングプロジェクトでも、解くべき問題や論点を外すとプロジェクトに黄色信号が灯ります。それがクライアントの不安を惹起し、プロジェクト炎上の火種になっていくこともしばしばです。

その意味で、論点設計はとても、とても大事です。この点について、論点思考は仮説思考よりも大事であるという論調でまとめたのがこちらのエントリーになります。

2.仮説構築

仮説思考についてはさまざまな記事を書きました。

仮説構築の対象、仮説構築の手法、(やや番外編として)クライアントに対する仮説構築、の3つについてまとめておきます。

 2-1.仮説構築の対象

まず、仮説構築の「仮説」の対象は、戦略コンサルティングの実践においては実に幅広いという事実があります。一般的に、書物などで言われている仮説思考とか仮説構築は、業界インサイダーからみれば「答え仮説」というものであり、仮説思考の一部ということになります。答え仮説というのは、ある論点に対する答えについての仮説です。これももちろん大事な仮説ですが、もっと幅広い対象に対して仮説思考を巡らせ、仮説を作ります。

具体的には5つほどの仮説思考(仮説対象)があるということを、こちらのエントリーに2回にわたってまとめました。

 2-2.仮説構築の手法

その上で、「答え仮説」を構築するためのいくつかの手法(How)についてまとめたのがこちらの記事です。机上調査は仮説構築の一手法ではありますが、業界キーパーソンや有識者に話を聞いたり、他業界のアナロジーを持ち込むなど、やや高度な実践的手法が存在します。

 2-3.クライアントに対する仮説構築

また、やや異質なものとして、クライアントが何を考えているのかということも、クライアントサービスにおいては大事な仮説思考です。これはコンサルに限らずクライアントサービスや法人営業にとってはとても大事です。コンサルティング業界では「クライアント・インサイト(洞察力)」という言い方もします。

言外の考えや思いまで考えを巡らせて、いかに刺さる問題提起や提言をするか。熟練が求められるため、アップル自身もまだまだ鍛錬の途上ですが、得られている事実・情報からクライアントの真意の仮説を立てることはいずれにせよとても大事だと日々感じています。

3.解法の設計と仮説検証

論点が設定され、それに対する答え仮説をなんらか立てることができたら、いよいよ仮説の検証に入っていきます。ここで重要になるのが「解法の設計」です。

解法の設計とは「具体的にどういう作業で仮説の検証を行うのか」という作業計画の設計です。仮説検証と言うは易し。戦略コンサルティングの現場では、「はてこの仮説、どうやったら検証できるんだろうか?」と悩むことが往々にしてあります。

つまり、仮説の検証で肝になるのは、解法の設計ということになります。

解法設計力は問題解決においてとても大事です。仮説は立てられなくても、解法を設計することができれば、(スピードは落ちるかもしれませんが)着実に論点に対して答えを出せるからです。

コンサルだけでなく、何かしらの問題解決に直面するビジネスパーソン全般に大事なスキルであり、これをもっているかどうかによってビジネスパーソンとしての競争力が今後大きく左右されるのではないか、という見立てを書いたのが以下のエントリーです。
(この記事は、多くのビジネスパーソンの共感を得られたのか、Twitterでも拡散し、たくさんのスキが付きました)


以上、問題解決のプロセスと要諦を、
0.扱う問題
1.論点設定
2.仮説構築
3.解放の設計と仮説検証
の順で体系化してまとめてみました。

頭ではわかってもなかなかできないのが論点思考であり仮説思考です。なぜなら、経験を通じた暗黙知が必要だからです。問題解決スキルに希少性があるからこそ戦略ファームが重宝されるとも言えます。

これらの記事で紹介した内容も、ある意味最低限の形式知の部分と言えますが(暗黙知の部分は定義により文字化が難しい)、大きな捉え方や、何がポイントになるのかについては参考にしていただける部分もあるのではないかと思います。

問題解決力を高めたい方は参考にしてみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!




この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,258件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?