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”考え方スライド”の有効性

戦略コンサルタントのアップルです。

中途で戦略ファームに入って以降、「これは使える!」と感じたテクニックは様々あります。今回はそのうちの一つについてご紹介したいと思います。

良く見かける光景

パワポ資料を使ったプレゼンでよくみかける残念な光景として、「正しいことを言っているのに伝わっていない」というのがあります。

この理由は、大きく2つあります。

①背景・文脈が共有されていない

どんなプレゼンでもそのプレゼンに至る背景や文脈があります。プレゼンター本人はもちろんその背景や文脈を熟知していますが、聞き手は必ずしもそうとは限りません。

背景・文脈が聞き手に共有されていないのに唐突に本題に入ったり結論を言うと、「ん?なんでこの人はこの話をしてるんだっけ?」「なんか正しそうなことを言っている気はするのだが・・・」と頭の中ではてながたくさんついてしまいます。

②結論に至るプロセスが共有されていない

どんな結論でも、その結論に至るプロセスがあります。そして、高度な問題解決やお題になればなるほど、唯一の答えや結論はなく、プロセスによって答えや結論が変わってくるという性質があります。

したがって、プロセスが共有されないままいきなり結論や答えを言ってしまうと、「どう考えたらこの結論になるのだろうか?」「なんか正しそうなことを言っている気はするのだが、今一つ腹落ちしないな・・・」と聞き手にもやもや感を与えてしまいます。

①、②ともに、こうやって書いてみれば至極当たり前のことなのですが、これをしっかり踏まえずにプレゼンして議論が錯綜したり発散する光景をよく見ることも事実です。ちょっとした心がけ・お作法でこうした不幸なプレゼン・会議を回避することができるというのが、今回のお話です。

処方箋としての「考え方スライド」の挿入

上記のうち②に対応する処方箋として極めて有効なのが、標題にもある「考え方スライド」を差し込むことです。考え方スライドと言っても、何枚も作る必要はなくて、たった1枚でよいです。この1枚をつくってプレゼンに入れることの価値はめちゃくちゃ大きいです。アップルもコンサルティングファームに入ってからしばらくしてそれを実感しました。

考え方スライドとは何か?
その名の通りで、何かしらの結論を導くためのプロセスや前提となる「考え方」を紙に落として可視化したスライドです。

具体的な類型としては、
・こういう評価の枠組みで評価してみた
・大きくこの3つのステップで検討をしてみた
・こういうフレームワークで事象を捉えてみた

こういった内容を1枚で端的に示したスライドです。

このスライドが結論・本論の前に1枚差し込まれていると、聞き手は「なるほど、これ以降の話は、こういう考え方に基づいて展開されるのだな」と頭づくりができます。

また、結論の成否や納得感だけで脊髄反射するのではなく、「確かにこういう考え方に基づけばこういう結論が導かれるな」と、その背後にあるロジックやストーリーも含めて立体的に話を理解することができます。

これらによって”相手に十分理解されないことによるミスコミュニケーション”を回避することができるのです。

しかしながら、例えば初心者のコンサルタントをみていると、「考え方スライド」をつくるのをすっ飛ばしていることが散見されます。私がそういう光景を見かけたときは、「結論を語る前に考え方を示したスライドを1枚足したら?」とアドバイスをしますが、そういうアドバイスをしてくれる上司は決して多数派ではないように思うので、プレゼンター自らがプレゼン資料を作成する際に前提となる考え方やプロセスを示す癖をつけておくのが得策でしょう。特に若手のビジネスパーソンの方は参考にしていただければと思います!


短いですが今回は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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