知的教養

知ってるけど
世間の人があまりに本を読まないのに驚く

いや、あたしだってそんなに読む方じゃない
多読なタイプじゃない
気になることがあったら調べて、そこに本が出てきたら探して読んでみるぐらい
だからペースは全然安定しない
年に5冊とかの時もある

でも、若い頃はそれなりに読んだよね
自分に知識がないのが悔しくて
早く世界を知りたいと思って
いっちょまえに喋れるようになりたいと思って

そういう体験、今の人はしないのかな?

別に師と仰ぐような人がいたわけじゃなく
読んだ内容について特に友だちと語り合った覚えもない
進学校の高校と、東京の大学と
環境としてはそれなりにあったのかもしれないけど、具体的な記憶はない

そういう経験があったからこそ
今それなりに喋れるんだよ
言葉を獲得するってのは、言語化するってのは
一朝一夕に、最短距離でできるもんじゃない
それぞれの仕事で書いた、何冊ものノート
仕事の内容だけじゃなくて、言われた言葉、それで自分が考えたことも

そういう、簡単には見えない、測れないものの価値に対する尊敬を
今の社会は失ったよね
誰かが語ったハウツーを身につければ
お手軽にすぐにも地位が獲得できる
そんな話ばっかり

私たちは豊かさを喪った

自分の人生、他人の人生・経験に対する広範な視線
言いようもない味わい
桐島や青葉被告の時にも感じた
彼らを断罪して何になるのだろう?
その自分の狭い目で切り取り、意味づけた「価値」が
いったいどれほどのもんだろう?

だから私は言う
まずは自分の人生を味わえ
他人目線でそれを貶めるな
その中に、底知れぬ豊かさと、求めてやまなかった救いの道がある
それだけだ