積ん読解消
周りに
老眼で本読めなくなったわー
いう話が溢れだしたので
そんな知的退廃は嫌だわ!と
意地でも読んでやることに……
本文よりも訳者あとがきに触発されたわ
“最近、日本に限らず世界中で、世の中の風潮が、左右両極端にみごとに分裂していることはよく指摘される。(中略)ツイッターなどのSNSメディアはその傾向を助長しているようにも思える。(中略)情動的共感が、強力に作用する場所と化しているように思われる”
“情動は文化や環境の影響を受ける。この高校生が、彼が生きてきた世界の影響を受けているのはもちろんのこと、それをやり玉にあげた人や、そのツイートに同意した人々も、自分たちが生きてきた世界の影響を受けている。そして情動は、私たちの思考や行動に深甚な影響を及ぼす。折に触れそのバイアスが、後述するようにメディアによって増幅されて噴出するのである”
“メディアが、伝達する内容のみにおいてばかりでなく、メディアの形態そのものが持つ作用によって無意識裏に人の心に影響を及ぼす及ぼし得ることは、(中略)特に目新しいものではない”
“ツイッターは「140文字の字数制限によって、自分の主張の根拠を述べない格好の言い訳を与えてくれる」「タイムラインに短期間表示されるだけである」「チェリーピッキングした根拠薄弱なツイートをリツイートによって瞬時に発信することができる」などといった刹那的、断片的な特質を持つにもかかわらず、リツイートの連鎖を通じて短期間で驚くほど広範に拡散する浸透力をも合わせ持つ。(中略)ツイッターはまさに情動の発露を劇的に促す格好のメディアだと言えるだろう”
“もっと何かを感じようと、もっと自分を感じようとして、私たちはオンライン接続しようとする。しかしその実態は、(中略)孤独から逃げているのだ。こうして一人で自己に集中する能力が退化していく。一人でいるときに自己のアイデンティティに確信を持てなければ、自己の感覚を維持するために他人の力をあてにせざるを得ない。すると今度は、他者を他者として経験することができなくなる。自分に必要なものを、他者からこま切れに受け取ることしかできなくなるのだ。これは脆弱な自己を支えるために他者を交換可能な部品として扱っているに等しい”
“まさに自己の拠って立つべきアイデンティティまでもが、今や一介のメディアによって強力な影響を受けているのである。そしてそこでは、他者(とりわけ自分と見解を共有しない他者)は(中略)全的人間としてではなく、こま切れに扱われる。(中略)おそらく(中略)面と向かっていたなら、(中略)人々の態度は、変わっていたのではないか”
個人的には
その論が正しいかどうか理性に訴えるのではなく
正しいらしく見せることに重きがおかれている風潮がとても気になります
決めつけとか揶揄とか、そういう手法ですね……
で、そこに集っている人々も、それぞれの信者しかいなくて
Aの論とBの論を並列に並べて、それらを統合して結論を見出だそうとする知性はないのかね?と、辟易とします
本を読むってのは、相当な忍耐が必要で
読んだからって正しく自分は理解できているのだろうか?っていう疑念は常につきまとうけれど
現実世界に議論に耐えうる場が存在しない以上
こうやって(少なくとも直線的には)結果に結びつかない問いを重ねていくしかないんだろうなと思います
何より、本は平等ですからね……