Telephone Line

上品ぶった上海蟹
溢れ落ちる下品な汁
舌で捻じ回し
奥歯の擂粉木すりこぎ
洗いざらう
キリンの口の動き
わずかに残されたものも
残忍かつまっすぐな名前を知らない銀色の器具でほじくり返す

そして
蟹の記憶は
熱い日本酒に溶かされていく



ピ、ポ、パ、と
凍える指を辿らせる
白夜びゃくやに吐く白い息は
電気信号化され
telephone lineが飛び交う
冷たい宇宙へ

ナニワに届く頃には
すっかり生ぬるい
あなたの声





「ねえ、どこにいるの?」

かに道楽です

「あいたい。
愛しあってカラダを重ねて確かめたい」

足折って殻から外して蟹食べたいから無理

「雑に扱われて、私なんかどうなっても、私の持ち味なんか消えたっていいの!」

お待たせしました
カニクリームコロッケになります



朝焼けと黄昏がこんがらがった
トワイライト
あなたのいるフィンランドと
道頓堀を繋ぐ
telephone  lineは切断された


都合良くあなたに
また逢いたくなる時まで




「Telephone Line」 Electric Light Orchestra

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