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ポストコロナの旅行を考える

私は旅行が好きなのだが、次はいつ旅行できるだろうかと日々思い悩んでいる。

特に、年1回の海外旅行を楽しみにしていた。練りに練ったプランを立てて、仕事の調整をして夏期休暇を1週間確保し、一人海外で羽を伸ばすのは至極のご褒美だと感じるからだ。

昨夏はウィーンとザルツブルクに飛んだ。日中は日本以上に暑くて、日焼け止めが汗で流れて、日焼けして帰国する羽目になったが、悔いはなかった。美術館を梯子して、煌びやかなコンサートホールで本場のクラシック音楽を堪能して、ベートーベンの道を歩いて、ウィーンの森のホイリゲ(酒場)で冷えた白ワインとオーストリアの煮込み料理に舌鼓を打って、朧げなドイツ語で現地の人とも交流したり。

帰りの飛行機では、予習で読んだ本『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』(中野京子著、光文社新書)をさらっと読み直し、次の旅先はスペインだと心に決めた。以前から行きたい国リストには挙がっていたが、ハプスブルク家繋がりで興味が増したからだ。

順調にスペインのリサーチを進めて、10日間程度の旅程をあれこれ考えていた。2019年は出張が多かったこともあり、マイルもいい感じに貯まって、マドリードまでの往復航空券分を確保できる見込みがたった。すると、年明け頃から雲行きが怪しくなってきた。コロナだ。

中国から始まり、2月・3月になると、イタリアやスペインで感染が爆発的に拡大していった。ああ、スペイン旅行は断念せねば、、、という状況に陥った。ただ、脳内予約だけで、実際には航空券もホテルも手配していなかったので、キャンセル料がかかることはなかったのが不幸中の幸いとでも言うべきか。

5月になって、ヨーロッパではロックダウンを解除する方向に進んでいる国もあるようだ。それでも、旅行者が行き交うような、かつての街の様子に戻るには長い道のりがあるように思われる。

そして、コロナの感染拡大が落ち着いた頃、世界各国の観光業界はどうなっているのだろうかという懸念もある。廃業に追い込まれたホテルやレストランも少なくないはずだ。経営難に陥る航空会社も、どこまで各国政府の支援が得られるか不安は残る。

ポストコロナの旅行は、今までの旅の在り方と様変わりするかもしれない。ホテルやレストラン、航空会社が今までの損失を取り戻そうと大幅な値上げに踏み切った場合、かつての水準での旅行は到底なし得なくなる。

旅行好きには、辛い日々が暫く続きそうである。

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