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マインドフルネスへの2つの疑問

こんにちは。ジェイラボです。

今回は現代マインドフルネスに対して、私が抱いている2つの疑問について書きたいと思います。

私がマインドフルネス瞑想を始めた当時、何をどうやったら良いのか全くわからないので様々な書籍を読んで、試行錯誤しながら実践を重ねていました。

もちろん、その後には実践会などにも参加してプロから指導も受けました。

どの書籍にも必ず書かれている内容は以下の通りです。

✔ 呼吸に注意を向けなさい。
✔ あるいは意識がどこかにさ迷った場合(マインドワンダリング)は再び呼吸に注意を戻しなさい。
✔ これを毎日の習慣にするとストレスの低減など様々な効果が現れます。

ところが、マインドフルネス瞑想に関する書籍や論文を何冊読んでみても、次の二つの疑問は解決されないままでした。

疑問1:
とか意識とか注意とか、頻繁に出てくる割に、それについての説明定義がないので、わかったようなわからないようなフワっとした感じになってしまう。
疑問2:
「呼吸に注意を向ける」など、方法論その効果、脳科学的な知見は詳細に書かれているのにも関わらず、
どのような仕組み(メカニズム)によってストレス低減などの様々な効果が現れるのか理論モデルが書かれていない。

なぜ、上記のような疑問が生じるかというと、以下の3つの事情が考えられます。

仮説1:
未だ「心」とか「意識」は、科学的なコンセンサスが得らえていない。
仮説2:
臨床研究の最高ランクの実験デザインであるRCTでは、基本的にマインドフルネスの有効性の有無しかわからない。
仮説3:
脳波などの身体計測機器による実験では、実験室の中での身体反応しかわからない。

仮説1は、
科学者によって心や意識の捉え方定義の仕方が異なるため、いつまで経っても科学的なコンセンサスが得られないという問題があります。

脳科学者は、当然、心や意識は、イコール「脳」であると考えます。

心理学者は、間接的に「習慣」「行動」などから心を推察したり、宗教家や一般の人々は、心や意識をスピリット(魂)と考えている場合も多いと思います。

したがって、特定の専門家の立場から「心や意識は、〇〇である」と派手に言えないという事情があるかと思います。

仮説2は、
科学的であるか否か、特にマインドフルネスに効果があるか否かは臨床研究によって検証されなければ科学的に有効であると言えません。

例えば、慢性痛のある人々100人をランダムに3つのグループに分けます。
・1つ目のグループは投薬治療群
・2つ目のグループはマインドフルネス介入群
・3つ目のグループは口頭での痛み教育群
に分けるとします。

それぞれのグループに痛みに関するアンケートを介入前と後に実施し、グループ間の比較を統計学的に行います。

結果、統計学的に
✔ 投薬治療群は痛み教育群よりも効果があった。
✔ マインドフルネス介入群も痛み教育群よりも効果があった。
✔ 投薬治療群とマインドフルネス介入群には統計学的な差はみられなかった。

このような場合、
・投薬治療群とマインドフルネス介入群は、痛み教育群よりも有効である。
・マインドフルネス介入は、投薬治療と同等の有効性がみられる。
ということがわかるわけです。

このようなことが臨床研究によってわかりますが、それ以上のことは解らないのです。
よく論文の「考察」の部分で、効果の作用機序(メカニズム)の記載がある論文もありますが、これは研究者の「推察」で、本当にその通りなのかは誰にも解らないのです。

前置きが長くなりましたが、臨床研究ではマインドフルネスの効果の有無は解りますが、作用機序までは解らないため、この部分の研究(基礎研究)の成果を待たなければなりません。

仮説3は、
マインドフルネス瞑想時に起こる心身の変化を計測する基礎研究になりますが、現代の技術で直接的に人間の心の状態を知ることができる機器はありません。
そのため、間接的に身体の脳波や心拍数、血液中のストレスホルモンを計測して、マインドフルネス介入が身体にどのような影響を与えるのかを観ているわけです。

これは、一見、マインドフルネスの作用機序が解るような研究のように感じます。

例えば、マインドフルネス瞑想によって「心拍数が減少した」「ストレスホルモンが減少した」のようにその時の身体現象はわかります。

そのため、
「マインドフルネス瞑想を行うと、心拍数および血中のストレスホルモンが減少するので、ストレス低減効果がある」

このような説明もできそうですよね。

しかし、これは結果論でしかありません。
なぜ、心拍数が減少したり、ストレスホルモンが減少したりするのかについての作用機序はよく解らないのです。

さらに言えば、マッサージによる心拍数やストレスホルモンの減少とマインドフルネス瞑想のそれとどのように異なるのかがよくわからないのです。

両者は、実施している内容が随分違いますから。

とはいえ、脳科学研究では、
マインドフルな意識状態で活性化する回路
セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)

マインドワンダリング(雑念)で活性化する回路
デフォルトモード・ネットワーク(DMN)

「気づき」によって活性化する回路
セイリエンス・ネットワーク(SN)

などが明らかになってきており、これらの研究結果と
その他、様々な基礎研究がリンクし始めてくるとすごく面白いと感じます!

というわけで、
次回のnoteでは、私が考える心や意識の定義を書いていきたいと思っています。

幸いにもnoteは、(倫理的な範囲内で)何を書いても自由なので科学者のようなしがらみや不自由さはありません(笑)。

さらに、その定義から、マインドフルネスの心理的・概念的な作用メカニズムの考察も記事にできたらと考えています。

次回に続く。

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