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アプリ甲子園ファイナリストの「今」/2017年 優勝者 西村佳之さん

2011年から開催されているアプリ甲子園。過去には全国からたくさんの中高生が参加し、自ら企画・制作したアプリやサービスを用い、熱い戦いが繰り広げられてきました。この記事を書いている私もアプリ甲子園に出場した一人。そんな私が、過去にアプリ甲子園ファイナリストとなった人たちがどういう想いだったのか、現在何をしているのか、ファイナリストの「今」にせまります。

西村佳之(ニシムラカイシ)さんは、2017年にアプリ甲子園に出場し見事優勝しました。
現在はIT企業でPMとしてお仕事をされています。そんなカイシさんがプログラミングを始めたきっかけや、なぜアプリ甲子園に参加したのか、そしてこれからをどのように見据えているのかお聞きしました。

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普通ではいられなかった学生時代、まずは技術から

西村「小5から中3までアメリカの現地校に通っていて、アメリカではサッカーをやっていた。だから日本に帰国してサッカー部に入ったんだけど、理不尽なことや正直しょうもないことがたくさんあって笑」

「部活だからサッカーだけやるわけにいかないですもんね。」

西村「せっかくアメリカで貴重な経験をしてきて、その自覚が自分にもあった。でも言われたことを普通に熟すだけの毎日で、その経験がどんどん色あせていく気がした。自分の頭で考えて行動して、それに対してフィードバックが欲しかった。それで自分にできる特別なことはないかなって考えて、プログラミングを始めた。小学生が独学でプログラミングを学んでアプリを作ったっていうニュースを思い出したんだよね。自分も小さい頃からパソコンを使っていたから、そこまで障壁は感じなかった。プログラミングさえできれば大勢に使われるサービスを作ることができるという仮説を立てて、プログラミングを始めることにした。ザッカーバーグとかもそんな感じでサービスをつくって、気づいたらスケールしたって話だったし。」

「なるほど、確かに。」

西村「だから、最初に作ったサービスはSNSにしたんだ。」

「あ、それ聞きたかったやつ!2017年に優勝したアプリ甲子園でつくっていた作品はNektっていうSNSでしたよね?」

2017年アプリ甲子園でプレゼンテーションをする西村さん

「Nekt」は指定したユーザー同士でスケジュールを共有できるSNS。友人と予定を合わせたり、イベントを作成し、友人を招待したり、スケジュール管理が簡単に。他にも普通のSNSのようにプロフィール写真やカバー写真、ひとことも変更・追加可能。

「カイシさんはなんで大会に出ようと思ったんですか?」

アプリ甲子園は手段のひとつ

西村「プログラミングを続けていく上で刺激が欲しかったのと、自分がどこまで通用するのか試してみたかったのが理由かな。その時の自分はそこそこ自信もあったし、自分よりできる人がいるなら会いたかった。いないならそれはそれで誇らしいもんだなあって思って参加した。」

そんな思いで最初につくったというNektでアプリ甲子園出場を決意した西村さん。
確かに、大会はひとつの目標にもなるけれど、その先に何があるのか考えることも大切だな。もちろん大会に出てみたからこそわかることもあるけれど。

西村「たくさんの人に使われるサービスをつくるという大きな目標の中で、アプリ甲子園に出場するという通過点を設けたことで、開発のモチベーションになったと思うし、そういう意味ではアプリ甲子園を手段のひとつとして活用することができたんじゃないかな。」

今あるプロダクトをより大きく成長させるお仕事

「大会にも出てプログラミングを続けてきたカイシさんですが、今はエンジニアではないお仕事をしていますよね。どんなお仕事をされているんですか?」

西村「今は社内ベンチャーの部署で、事業をより大きくするための提案をして、人を巻き込んで企画を進める仕事をしてる。」

「プログラミングを始めたのも多くの人に使ってもらえるサービスをつくるためでしたもんね。」

西村「そう、プログラミングを突き詰めていくこともできたとは思うけれど、それよりも多くの人にプロダクトやサービスを使ってもらうことに興味があった。だから今はビジネスっていう総合格闘技の中で、ITというひとつの強みを活かしている感じかな。」

うーん、かっこいい。
プログラミングができるからこそもつことのできる視野を生かせば自分の手でコーディングして何かをつくる以外にもたくさん活躍できる場がありそう。

今ある目標のその先に将来があるからわからない

「カイシさんは将来目指すことってなんですか?やっぱり起業家になること?」

西村「いや、今はわからないかな。2,3年はひとつのサービスの成長に取り組んでみて、そこでどんな景色が見えるか次第かな。更なるグロースに注力するかもしれないし、またゼロからサービスをつくるかもしれないし、人材育成の方向とかに進んでいくかもしれない、と思う。もちろん、スタートアップの動向とか最新技術とかは随時キャッチアップして、今後社会に必要とされるものを考え続けるけどね。」

「直近の目標というか、今あるプロダクトの成長に携わってみてその先を決めていくっていうことですね。常に目標は起業家になることだと思っていたので意外でした。」

西村「そうだね。まあ起業家になること自体は誰でも登記すればすぐできるから。」

今の社会とプログラミング

「最後に、これからプログラミングを始めたり大会を目指したりする人たちに向けて何か言葉をもらってもいいですか?」

西村「そうだね、プログラミングはやったらいいとは思う。アナログな社会では、物をつくって売ればお金が回っていたけど、今は何をするにもITがついて回っている。」

「そうね、自分で全部つくれる必要はないと思うけれど、知識があることで社会の仕組みを少しでも理解できたら楽しいと思います。」

西村「プログラミングを始めたらアプリやウェブサイトだけじゃなくて、目の前の椅子ですら誰かが思いを込めてつくった物だと気づくことができた。それは確実な変化だと思う。」

与えられる人より与える人であること

西村「あと自分がプログラミングをできるみたいに、クリエイターとかスゴ技を持つ人に会った時に、ただすごいなあって思うだけじゃなくて、できる人がいるなら自分にもできるんじゃないかって思える人でいたい。大学の先生も言ってた。」

西村「特にアプリ開発ができると、年齢に関係なく「つくる側」の人間になれる。大人たちと同じ土俵で物事を考えて、勝負ができる。それは楽しいことだし、その体験を若いうちからできることが貴重だと思う。そういう意味では大会もいい機会だよね。」

今日は、アプリ甲子園2017優勝者の西村佳之さんにお話を聞いてみました。プログラミングを学ぶことで見える社会と自分とのつながりや、色んな立場からプロダクトづくりに関わり続けることのお話が印象的でしたね。すでにプログラミングでのモノづくりを始めている人にもそうでない人にも新しい視点を与えてくれるお話であったのではないでしょうか。

西村さんがアプリ甲子園は手段のひとつと言っていたように、「つくる側」のひとりとして自分の作品を社会に発信したり、フィードバックを得たりするところから将来へとつながっていく貴重な機会だと思います。この記事で興味をもった方はぜひ大会にも挑戦してみてください。


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