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IT思い出話(12)

私の配属先~社会人としての一歩

さて、証券会社のプロジェクトに配属されたわけですが、私の作業場所は本社の中のフロアでした。当時、本社以外に複数の分室がありどの分室で働くが新人として気になるところでした。

就職して晴れて経済的に独立した私は、実家から出て部屋を借りることにしました。そして、本社から地下鉄で20分程という便利な場所にアパートを借りることができて、本格的に社会人としての一歩を歩みだしたのでした。

ソフトウエア開発のやり方には大きく分けて二通りのやり方があります。一括請負あるいは部分請負という形で、請負契約を結ぶやり方です。もう一つが技術者派遣です。

請負と派遣というやり方は現在でもどちらも普通に行われているやり方ですが、派遣のほうがビジネスとしてのリスクが少ないので、このやり方をとるソフトウエア開発会社が多い傾向にあります。特に派遣する技術者さえいればビジネスができるので、社長が身一つから始めることができるわけです。

プロジェクトによって両方を使い分けるやり方もありますが、技術者の待遇という観点からは請負契約での労働の方が一般的に良い状態であると言えます。

派遣という働き方は現在では事務職でも普通になってしまったので、読者の皆さんもイメージしやすいと思います。もちろん、派遣という働き方にも良い点と悪い点があります。

一番問題なのが、自分の帰属意識の問題です。せっかく正社員として就職した会社なのに、派遣として客先に常駐しそこで何年も働くという形は、いったい自分がどの会社の社員なのかわからなくなる気がします。

自分の会社なのに、自分の机もない。あるのは籍だけ。会社との関係は単に給料が振り込まれるというだけということになりがちです。

また技術者としてのスキルアップにも問題があります。教育を客先任せにされてしまうと、十分な教育が受けられない場合があります。もちろん技術者ですから、他人に頼らず自分の力でスキルを身に着けるというのが基本的なことですが、ことコンピュータやソフトウエア開発の技術について自前でできるのは本を買うことくらい、コンピュータのハードウェアやソフトウエアを学習用にそろえるなんて、当時はできませんでした。

その点、現在は非常に恵まれていて、安価に手にはいるPCと無料で手に入るフリーソフトだけで、プログラミングやその他IT系の技術を身に着けることが簡単にできます。まさに40年前を想うと隔世の感があります。

とまあ、この話題に触れると話が脱線してしまうので、今はこのくらいにしておきます。

言いたかったことは、私が入ったプロジェクトは一括請負で、作業場所も基本的には客先ではなく、自社だったということです。もちろん、仕事の内容によっては客先のコンピュータセンタに出向くこともありましたが、自社でプログラム開発作業ができるというのは、当時は画期的なことだったのです。

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