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ここはいつだって空が近い

これでもかというくらいに熱い空気が籠る東京の夏。大門駅から東京モノレールの浜松町の乗り換えで変な音がした。嫌な予感は的中。スーツケースのキャスターが壊れているのをすぐに発見。「マジか。」と思いながらも乗り換えがあと五分しかないのでとにかく走る。なんとか東京モノレールに乗り込み額から汗を何滴もこぼした。ふと見た窓の外からは大小の白い塊が散りばめられ明るい水色をした空を見てようやく「地元でスーツケースを買い直さんとな。」とぼんやり考えた。

羽田発のフライトは日曜日ということもあってかかなり混雑していて、早めに家を出て正解だった。空港の出発ロビーで買うお土産はいつも無難な東京バナナを買ってしまいがちだが、今回は母が餡子が好きなことを思い出して「あんバタ屋」のフィナンシェにした。私が買うときにそのフィナンシェがラスト一点だったというところに運命を感じる。(大袈裟すぎる。)スーツケースを預けるときに多くの人が待機していたのに手荷物検査はガラ空きだった。ターミナルに着いたのに使用機材遅れで搭乗できたのは出発予定時刻の15分後。飛行機に乗り込んでからまた羽田の管制塔指示待ちにより離陸できたのは約45分後。それでも、地元に着いたのは元々の到着予定時刻よりも25分遅れただけだった。パイロットの方がかなり飛ばしたんだと思う。

約一年ぶりの実家は相変わらず母の城で綺麗に整理整頓と掃除が行き届いていた。昨日寝ぼけてしまい、夜中にトイレに行ったところどうやらトイレのスリッパを履いて自室で休んでしまった。朝起きてトイレに行くと自分が夜中に履いていたスリッパが戻されている。その上にはこんなメモ紙が…。

これはトイレスリッパです。
はいたまま他の部屋にいかぬ様
ご協力ください
母より

達筆ではあるが力強い文字を見て遠回しに「私の城を荒らすな。」と言わんばかりの表現に思わず笑った。というかJALのロゴが古い。そこはどうでもいい。スリッパのことで注意を受ける娘は中々いない。

私の夏休みスタート。山と海に囲まれ自然が豊かな場所でリセット&リフレッシュ。私にとって良い気分転換の日々。ここは穏やかな川のように時間の流れがゆっくりとしている。そんな中で気づくこの場所の大切さと家族や友人たちのいるありがたみ。どれも私という人間を形成していく上で必要なこと。一瞬一瞬のここでの生活を忘れないようにしたい。今回の休みはなんとなくそう思った。

とりあえず、ここ最近で読めてない本はこの滞在中に読み切りたい。(ここで誓いを立てたい。)

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