イタリアのピアノ曲名作曲家紹介〜F.マルゴーラ

皆さまこんにちは。
今月はイタリアの作曲家、マルゴーラ(Franco Margola,1908-92)について紹介していきます。
今年6月に「近現代イタリアのピアノ曲名曲紹介」という記事を出しましたが、そこでは取り上げていない作曲家です。


マルゴーラはロンバルディア州のブレシア県出身で、パルマで作曲を学んだ後故郷やボローニャ、ミラノ、ローマなどの音楽院で教鞭を取りました。
交響曲やオペラのほか、ピアノ、ヴァイオリン、ギター、マンドリンなどのための作品を残しており、軽やかな響きの中に所々仄暗さや棘が感じられるような、独特な作風をしています。
早速マルゴーラの楽曲から、ピアノソロ曲と合奏曲をいくつか紹介していきましょう。
ピアノ以外の編成の作品は、機会があれば別の記事で取り上げるつもりでいます。


【ピアノソロ曲】
まずは単発の小品から挙げていきます。
・秋の小さな狂詩曲
https://youtu.be/y3KNG19QJIw?si=XvAPaKXaULo9ycus
まさに今の季節にぴったりな曲です。
静かで憂いを帯びて始まる旋律が、流れるように曲想を変えていく様子は、即興的で所々印象派の作品のようにも聴こえるのではないでしょうか。

・ドメニコ・スカルラッティによるソナタ
https://youtu.be/ExD6c1NrUyE?si=xVquY9__NZcuR0iX
タイトルとは裏腹に、スカルラッティやバロック音楽らしさからかけ離れた夢想的な小品です。
演奏時間2分足らずの小さい曲ですが、揺蕩うような美しい曲調が聴き手の印象に強く残るような作品です。

・即興曲
https://youtu.be/6XKl0tOArcY?si=2hDzgE_G7eywjZ44
即興曲というタイトルが付いているものの、即興的というよりは古典的・形式的な要素が目立つすっきりとした曲想です。
上記の2曲は比較的に性格的な要素が強いのに対し、この作品は後で紹介するソナチネやソナタにも通じるような、より抽象度が高く新古典主義的な作風と言えるでしょう。

・ソナチネ第4番
第1楽章
https://youtu.be/tvwYVvNnvn8?si=AOdRLuKEl4bJU5MK
第2楽章
https://youtu.be/X3exwlLAgrU?si=3nAEnb8DkiX1jefG
第3楽章
https://youtu.be/WLBG57fwj8w?si=I2e5WJ4aGLzjcqIo
第4楽章
https://youtu.be/Mwk4-VQ6mso?si=3CE6pZvNV2KyDZC-
・ソナタ第3番
第1楽章
https://youtu.be/1ZkTISCuae4?si=OiqjmR_f20hhNYdC
第2楽章
https://youtu.be/1AvNgi4-qE0?si=iHGy7RXuvX9lM8Ox
第3楽章
https://youtu.be/kFhacWIE8VE?si=0bQO4Nbe3argE1HC
マルゴーラはいわゆる古典派の様式に基づき、現存するものでソナチネを2曲(※)、ソナタを5曲作曲しました。
どの曲もコンパクトな大きさにまとまっており、意表を突いた音の運びや、軽い響きの中で時々見せる大胆さ・力強さがユニークです。

※ Naxos Music Libraryの曲目リスト、A.Deljavan “FRANCO MARGOLA Complete Piano Works”に載っているのは、「ソナチネ第4番」「ソナチネ Op.26」の2曲。ソナチネ第1〜3番があったかは不明。


【室内楽】
・ピアノ五重奏曲 第2番
第1楽章
https://youtu.be/ywTNXuYJm0Y?si=8XQzk1pcpdAPdSM3
第2楽章
https://youtu.be/LTCb1df6fOc?si=gIdHDkl7KJggPs7Z
第3楽章
https://youtu.be/1ISrYmgA0Vo?si=GwkuoggtorjB9hO8
マルゴーラはピアノ五重奏を2曲作曲しました。2曲とも非常に素敵なのですがここでは第2番を紹介しておきます。
マルゴーラのピアノ曲は軽やかな音色が印象的なものが多いですが、2曲のピアノ五重奏は中低音域が多用された重厚感のある響きや、エネルギッシュな曲調が特徴です。


【協奏曲】
・子供の協奏曲(Kinderkonzert) 第1番
https://youtu.be/Caj1RUtg5Gw?si=1map94zuGIBG3fx9
マルゴーラは「子供の協奏曲」と題する作品を2曲残しており、第1番はピアノと管弦楽、第2番はヴァイオリンと管弦楽のための作品です。
2曲とも明るく快活で、子供が聴いても大人が聴いても楽しめるような楽曲に仕上げられているのではないでしょうか。


【マルゴーラの作品の音源・楽譜】
ピアノ曲全集の音源は、イタリア出身のピアニストであるAlessandro Deljavan(1987-)が2018年にリリースしています。
一方楽譜は、”Sheet Music Plus”や”Presto Music”といった海外大手通販サイトにて、「15の小品」「ソナタ」などの限られた作品のみ販売されていました。
筆者としては「秋の〜」や「ドメニコ・スカルラッティ〜」こそ楽譜が欲しいのですが…
入手先を見つけ次第情報共有します!


参考文献
・Naxos Music Library「フランコ・マルゴーラ」
https://ml.naxos.jp/composer/165542 2023年10月24日閲覧。
・Franco Margola Music for Mandolin and other Chamber Music from “Brilliant Classics”
https://www.brilliantclassics.com/news/franco-margola-music-for-mandolin-and-other-chamber-music/ 2023年10月24日閲覧。
・Alessandro Deljavan ”Franco Margola Opera omnia per pianoforte”
https://www.amazon.co.jp/Franco-Margola-Opera-omnia-pianoforte/dp/B079ZT1XK1 2023年10月31日閲覧。
・Franco Margola from “Sheet Music Plus”
https://www.sheetmusicplus.com/en/category/composers/f/franco-margola/ 2023年10月31日閲覧。
・Franco Margola from “Presto Music”
https://www.prestomusic.com/sheet-music/composers/25588--margola-franco
2023年10月31日閲覧。

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