イギリスのクラシック音楽名曲紹介〜声楽曲編〜
皆さまこんにちは、今回はイギリス人作曲家による声楽曲を取り上げます。
様々な時代・編成の作品を紹介するので、歌が好きな方はぜひ演奏してみてください。
【ルネサンス・バロック時代】
イギリスのルネサンス時代を代表する作曲家であるW.バード(1543-1623)は、王立礼拝堂の音楽家として国教会の礼拝音楽を作曲しましたが、自身はカトリックを信仰し、ラテン語のミサ曲やモテットなども作曲しました。
グレート・サーヴィス
https://youtu.be/q93IEVNSjBM
アヴェ・ヴェルム・コルプス
https://youtu.be/vFZZMF7SRRo
J.ダウランド作曲 不穏な考え
https://youtu.be/GBx6jIzYtBw
https://youtu.be/AOf4KGFEVF0
ダウランド(1563-1626)はリュート曲編でも紹介した作曲家・リュート奏者ですが、リュート曲のほかに声楽曲も残しています。ダウランドの声楽曲は宗教音楽ではないものが大半であり、愛や悲しみなどがしばしば題材になっています。この曲は1597年に出版されたダウランドの歌曲集の1曲です。1つ目のリンクは4声のアカペラで、2つ目はソプラノとリュートによる演奏です。
・J.ブロウ作曲 私は喜んだ
https://youtu.be/6ByfEWP9b30
ブロウ(1649-1708)はジェームズ2世付きの音楽家やウエストミンスター寺院のオルガニストを務めた人物で、パーセル(1659-95)の師でもあります。この曲はシンフォニー・アンセムと呼ばれるイギリスの宗教曲で、リズミカルで非常に楽しい曲調の作品です。
【19世紀以降の作曲家】
・R.クィルター作曲 5つのシェイクスピアの歌(独唱とピアノ)
https://youtu.be/bFlFPDWOt0g
クィルター(1877-1953)はシェイクスピアやブレイクといった、イギリスの偉大な詩人の詩を元に書いた歌曲で評価されており、生涯で作曲した歌曲は100曲を超えます。彼の声楽曲では「3つのシェイクスピアの歌」が最も有名ですが、ここでは「5つの〜」を紹介します。
・J.アイアランド作曲 春の悲しみ(独唱とピアノ)
https://youtu.be/bsxOQFpuHRo
アイアランド(1879-1962)は、イギリスの自然や情景を題材とした作品を多く残し、その作風は「イギリス印象主義音楽」と呼ばれました。アイアランドの作品はピアノ独奏曲が多いですが、声楽曲も残しています。
「春の悲しみ」は、アイアランドの声楽曲で最も人気の作品の一つです。美しいメロディと、伴奏が所々意表を突いた和声進行をする点が、非常にアイアランドらしい作品です。
・G.バターワース作曲 シュロップシャーの若者からの6つの歌(独唱とピアノ)
https://youtu.be/GDv-FUfOXNQ
バターワース(1885-1916)は自らの満足しない作品を第一次世界大戦中に破棄してしまった上本人も若くして戦死してしまったため、現存する作品は多くありません。しかし残された楽曲は、イギリスの情景などを題材にした、牧歌的で素敵なものだと言えます。
「シュロップシャーの若者」は、イギリスの詩人ハウスマンによる同じ題の詩集から、バターワースが6つを選び曲をつけたものです。(バターワースはこの詩集から、「ブレドンヒルとその他の歌」という歌曲集も残しています。)
1曲目の「最も美しい木々」は、バターワースの代表作である管弦楽曲「シュロップシャーの若者」のもとになっています。
・E.モーラン作曲 六月はいつ来るの(独唱とピアノ)
https://youtu.be/hTGyU_5HJE4
ピアノ曲編・管弦楽曲編でも紹介したモーラン(1894-1950)による歌曲です。
モーランのピアノ曲や管弦楽曲は、翳りと複雑さを感じさせる不協和音が特徴ですが、声楽曲は比較的すっきりとした響きで書かれています。イングランドやアイルランドの民謡から影響を受けた作風ゆえ、それらの民謡を聴くのが好きな方には非常に馴染みやすい楽曲だと思います。
・V.ウィリアムズ作曲 音楽へのセレナード(声楽アンサンブルと管弦楽)
https://youtu.be/QDYi4JgQA2I
ウィリアムズ(1872-1958)はイギリス民謡や教会音楽から影響を受けた人物で、交響曲など管弦楽のための作品の人気が高い作曲家です。
この曲の歌詞はシェイクスピアの「ヴェニスの商人」の一部で、元々は16人の独唱と管弦楽という編成で作曲されました。後に作曲者自身によって、4人の独唱と合唱・管弦楽、また管弦楽のみの編成に編曲されています。
・フィンジ作曲 地に平和を(独唱と合唱・管弦楽)
https://youtu.be/bzrzySYip2M
フィンジ(1901-1956)は作曲家としてのほか、園芸家としても活動した人物で、霊感を感じさせるような穏やかで美しい作風は近年注目を集めています。
フィンジが生涯で作曲した40曲あまりのうち、その半数以上の曲に歌が含まれていることから、声楽はフィンジにとって非常に重要なジャンルだったと言えるでしょう。「地に平和を」はソプラノとバリトン、合唱と管弦楽による作品で、ルカ福音書によるクリスマス劇音楽です。
フィンジは独唱曲でも魅力的な作品を残していますので、こちらもぜひ聴いてみてください。
https://youtu.be/9pGhV4Ty5gQ
今後、気が向いたらイギリス人作曲家によるオルガン曲紹介も書こうと思います。
次回もお楽しみに。
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