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消防士にも大切。失敗にこだわる「正直さ」

高信頼性組織とは何か

 高信頼性組織(HRO)とは、失敗が許されないという過酷な条件下で常に活動しながらも、事故発生件数を抑制して、高い成果をあげている組織のことをいい、消防業界としても注目している概念です(僕だけ??)。 

HRO の具体例としては、航空管制システム、原子力発電所、救急救命センターなどが挙げられます。また、ISP(Internet Service Provider)に代表される情報通信業界も高信頼性が求められる組織であるといえます。

いったい高信頼性組織とは何なのか・・・僕たち消防は、どのような組織を目指さなければならないのか。僕は大変興味を持ちました。

整理してみたので、興味のある方は読んでみてくださいね🚒🚑✨

高信頼性組織の特徴

HROの特徴についての研究はいくつか発表されていますが、一番有名なのは、ミシガン大学のワイク教授らによる指摘です。

具体的には、

①失敗にこだわる・・・失敗から徹底的に学ぶ
②単純化を避ける・・・失敗の原因を一括りにしない
③日常業務に敏感になる・・・不安要素を潰す
④操業の回復が絶対・・・私たちの代わりはいない
⑤専門知識を重んじる・・・階級より専門性  
(Weick,K.E. and Sutcliffe,K.M.(2001)Managing the Unexpected ; Assuring High Performance in an Age of Complexity)を参考に記述


少し、言葉の言い回しが難しく、どのようなことかイメージできないかもしれませんが、それぞれを分かりやすい言葉で整理してみますね。

① 失敗にこだわる「正直さ」

HROの中で、最も重要です。自分の失敗を認めて、他の人に伝えるのって難しいですよね。人間には叱られたくないとう防衛本能があります。人間には懲罰の恐れもあります。でも、この壁を突破できるかどうかが非常に重要なんです。

失敗を詳細に検討して教訓を引き出す。

すなわち、不測の事態に発展しかねない”わずかな徴候”を早期に発見して、報告し、組織として対策を講じていく。 

このように、報告する文化が浸透しており、失敗やミスについて「正直な報告」ができるのが HRO です。失敗の原因を探り、徹底的に学ぶ。これができているところはまだまだ少ないのではないでしょうか。

どんな些細な失敗も、組織のために報告できる。大切なことですね。
僕たちは失敗してはいけない集団です。それだからこそ、失敗には真摯に向き合わなければいけないのではないでしょうか。

② 単純化を避ける「慎重さ」

失敗が起こった時に多くの人が陥りがちなのが、単純化の罠です。

「この失敗は、〇〇さんの勘違いだよね」

「この失敗は、ヒューマンエラーだよね」

と言ったように、大した分析も行わずに、失敗の原因を一括りにしてしまうことってありませんか?これを”失敗の単純化”と言います。

HROは、このような”失敗の単純化”は絶対にしません。

大変用心深い組織なのです。

言い換えれば、慎重な組織・臆病な組織ともいえます。安全を最も重視し、不測の事態が発生しそうな徴候が見られれば、最悪の場合を考えて最善の努力をするのが僕たちです。

③日常業務に敏感になる「鋭敏さ」

みなさんの仕事における日常業務ってどんなことがありますか?消防にとって日常業務とは、消防車や救急車の”ライトが点灯するか”、”タイヤは問題ないか”などの車両点検や、資機材の点検が日常業務です。

毎日行わないまでも、週に1回とか、月に1回とか定期的に行なっている業務もあります。

日常業務というのは、、、そう。退屈な仕事でもありますね。

ついつい省略してしまったり、適当にしてしまったり・・・。

「昨日も点検しているんだから、今日も問題ないだろ?」って考えてしまう気持ちもわかります。

でもよく考えてみてください。
日常業務というものは、”先人たちが重要視した理由がある”から毎日行なっているのです。消防業務にとって車の管理は生命線ですからね。緊急出動は、車が動かなければ始まりません。消防にとっても日常業務は非常に大切です。

「日常業務に敏感になる」ことで、徹底的に不安要素を潰していきます。
不測の事態に常に気を配ります。お互いのコミュニケーションの中から最新状況の全体像を作っていきます。

「日常業務を敏感にする」と同時に「災害現場が敏感になる」ことが重要であり、上下左右に率直なコミュニ ケーションが行われる組織が HRO です。 

④ 操業の回復が絶対「機敏さ」

消防には代わりがありません。医療にも代わりがありませんし、飛行機も落ちたら終わりです。

消防車が壊れたところで火災は待ってくれませんし、消防隊員が現場で怪我をしても、すぐさま代わりの隊員を準備して隊の活動を維持しなければいけません。

このように、
不測の事態が起こってしまった場合、その影響を軽減し、業務を継続するにはどうしたらよいかに注目します。

すなわち素早いバックアップ体制ですね。

 早期の問題解決を目指すためには、組織として、今何をするべきかを明確にしており、一人一人が 自律的に行動することが重要であることを認識しているのが HRO です。

私たちの代わりはいない。

ならばどうするのか、この些細な失敗を生かすのか、殺すのか・・・。

もし、脱輪したら?

もし、この資機材が壊れたら?

全て想定範囲内として、事前に対策を考えているのがHROです。

みなさんの組織はどうですか?

出たとこ勝負していませんか?

⑤ 専門知識を重んじる「柔軟さ」

不測の事態が発生した場合、その対応に最も適切な知識・能力を持った者に任せるのがHROです。

意思決定の権限を委譲するなど柔軟性を備えているのです。上司の器が試されますね。今必要なのは階級よりも失敗をリカバリーするための専門知識です。

「以前、同じ失敗に対応したことがある」

「そう言えば、他の消防で類似事案があった」

そのような発言をしてくれる仲間がいたら、どんどんアイデアを求めて実行すべきでしょう。

組織としての相互信頼の確立が、柔軟な対応を可能にしますね。
あなたの消防にはそのような柔軟さはありますか?

まとめ

今回は「高信頼性組織」という言葉について勉強してみました。

①失敗にこだわる・・・失敗から徹底的に学ぶ
②単純化を避ける・・・失敗の原因を一括りにしない
③日常業務に敏感になる・・・不安要素を潰す
④操業の回復が絶対・・・私たちの代わりはいない
⑤専門知識を重んじる・・・階級より専門性

仕事の失敗やミスはできることならゼロにしたいものですが、現実にはちょっとした注意不足により失敗やミスが起こってしまうものです。

その失敗の多くは軽微で、たいした問題にならないかもしれませんが、 中には1つの失敗やミスが企業経営を危うくしたり、社会に大きな影響を与えたりすることもあります。

今回の5点は、僕たち消防にとってどれも大切なことばかりでした。 どの項目も、「ベースはコミュニケーション」というところがとても面白かった。

さっそく職場でディスカッションしてみたいと思います‼️

個人的には①と②..③も??うーーん、、、。
全部出来てないかも😅

ひとつひとつ、取り組んでいきたいと思います👩‍🚒🚒🚑‼️

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