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職員はエラーを起こすが、それ以上に防いでいる👩‍🚒🤚✨

どうも👩‍🚒🤚✨
救急救命士のAPO隊長です。

特集!ノンテクニカルシリーズ。

今日は、「個人攻撃の悪。職員はエラーを起こすが、それ以上にエラーを防いでいる」について、”スイスチーズモデル”を用いて解説していきます。

これは非常に重要な考え方です。

この考え方を理解すルと、エラーということについて根本的に理解することができますよ🤩


失敗の原因はどこにある?

👩‍🚒皆さん、最近はどんな失敗がありましたか?大きな事故につなっがってしまったでしょうか。それともヒヤリハットでしょうか・・・。

私の消防署では、先日、”救急資機材の電池切れ”というヒヤリハットがありました。救急車に積載してある、救急現場で使う資機材ですね。予備電池が積載してるので、現場活動に問題はなかったのですが、電池が切れた状態で、おそらく数日は放置されていたと思われます。

このような事案の場合、あなたは、エラーに対してどのような向き合い方をするでしょうか。

🙋‍♂️「最後の使用した人が、やはり悪いと思います。」
🙎‍♀️「毎日の点検で確認していないというシステムがおかしいのでは?」
🙋‍♂️「電池切れに気づいていた人がいたのでは? 月に一回の調査があるはずだけどなあ。」
🙎‍♀️「そういった時のために、予備の電池が積載してあるのだから、問題視する必要はないのでは?」

などでしょうか。

最後に使用した人に責任がある。システムがおかしい。なるほどどれも納得の考え方です。

私の消防署では、「最後に使用した人がきちんと確認するべきだ」ということで、上司から叱られることになってしまいました💦

この事案に対する向き合い方は、果たして本当に正しいと言えるのでしょうか・・・。

スイスチーズモデルを見てみよう

👩‍🚒それでは、スイスチーズモデルを見てみましょう。

https://www.ipros.jp/technote/basic-aircraft-safety-measure5/

これがスイスチーズモデルです。見た事があるという人もいらっしゃるでしょうね👩‍🚒✨

事故の要因は、様々な角度からやってきますが、その要因は、基本的にいくつもの壁によって、ガードされています。たとえ一つの壁が突破されたとしても、次の壁があるので、その部分で事故の発生を抑える事ができる。

ただ、何かのタイミングがぴったりと合ってしまった場合、スイスチーズモデルのように、それぞれの壁の穴を通り抜け、事故に繋がってしまうという概念を説明したのが、スイスチーズモデルです。

通常、一つの事故につながるためには、5つの壁があると言われています。
先ほどの電池切れの例では、

①最後に使用した職員が点検するという壁
②毎日の点検という壁
③毎月の点検という壁
④予備電池を積載しておくという壁

があると言えますね。
この事案では、この壁がどのように作用したかを見てみます。

①最後に使用した職員が点検するという壁▶︎点検しなかった
②毎日の点検という壁▶︎システムとして存在しない
③毎月の点検という壁▶️先月の点検では問題なし
④予備電池を積載しておくという壁▶︎実際に現場で交換した

このようになりました。

「①最後に使用した職員が点検する」というルールはたまたま守られず穴を抜けた。「②毎日の点検という壁」はそもそも存在していなかった。「③毎月の点検という壁」は機能したが、月単位の点検なので穴は抜けやすい。最終的には、「④予備電池を積載」という壁が機能して、事故を防いだ。

👩‍🚒こうなってくると、どうでしょうか。
今回の事案は、むしろ事故を未然に防いだ事案と言えるのではないでしょうか。

今後解決につなげる方向性としては、やはり救急現場で救急資機材の電池が切れて、慌てふためく場面は起こしたくないので、現場で電池を交換するという壁は最終手段として残しておきたい。

という事でここは、
システムとして存在しなかった毎日点検の部分で、よく使用する救急資機材の電池残量は、始業時に確認するシステム(壁)を設けよう!となるのではないかと思います👍。


人間はエラーを起こすが、それ以前にエラーに気づいて修正している


”現場安全の技術”という書籍には、どのように記載されているか見てみましょう👩‍🚒


事故は組織の防御体制の穴をいくつも抜けて発生する

  事故は、組織の防御体制をいくつも抜けた上で発生する。これは、現場で働く職員のエラーやルール違反と、安全管理者やその他の監督者によりもたらされる業務システムの潜在的な危険の組み合わせに起因している。現場での従業者は、組織の防御体制の最後の砦といえる。現場における従業者は、事故を引き起こす存在であるが、それ以前に、日常的に自分自身や他人のエラーに気づいて修正をしている。・・・人間は、事故が発生する恐れがある環境下において、安全に業務を遂行できる対応能力と専門性を持っているといえる。
現場安全の技術

この太字の部分が、エラーを防ぐという考え方で、とても重要な部分になります✨

職員はエラーを起こす要因となるが、それ以前にエラーに気づいて修正している。という事ですね。

職員はエラーを未然に防いでくれる財産!!
この感覚ってみなさん持ってますか✨🙂?

職員は確かにエラーを起こします。
・・・・あなたも、昔はエラー起こしてましたよね??
でも、たまたまじゃないですか?あなただけが原因ではないですよね・・・?様々な要因が重なって起こってますよね?

組織としては、新たな制度を設けたりするのが、面倒くさいんです。
だから個人攻撃が楽なんです・・(-。-;

でも違うんです。

エラーを起こした以上に、その職員は組織のために、あなた上司のために、様々なエラーを未然に防いでいるんですよ!!!!!

ここ、大切ですからね👩‍🚒

まず前提として、”人間はミスをする生き物である”という事を理解しなければなりません。
一つのミスに対して、個人を攻撃する事が、組織として全く意味のないレベルの話をしているという事が理解していただけたでしょうか。

組織としては、ミスに対して個人を攻撃するのではなく、”組織全体として事故をどのように防いでいくのか”という考え方にシフトしなければなりませんね。

消防にとって、戦う相手は上司でも部下でもなく、傷病者であり要救助者です🚒🚑。

ミスを防ぐという矛先は、組織としての最終目標をゴールとして、対策を設定する必要があるという事ですね。


まとめ


今日は、ノンテクニカルスキルで重要な、スイスチーズモデルについて解説しました。重要な点は、以下の通りです。

1、人間はエラーを引き起こすが、それ以上にエラーを防いでいる。
2、事故とは、様々ある壁がちょうどよく突破された時に起こる。
3、組織は、個人攻撃をやめ、組織の最終目標を見据えた上で、
対策を練る
べきである。
4、具体的には事故を防ぐ”壁の機能””壁の数”について、見直すべきである。

それでは次回もお楽しみに!
ではまたっ👩‍🚒🤚✨





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