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饅頭婆ちゃんの手

子供の頃、同居の父方祖父母と区別する為、母方祖父母を
「饅頭爺ちゃん」「饅頭婆ちゃん」と呼んでいました。

お饅頭屋さんを営んでいたから、というとても単純な理由。
ひとつひとつ、手で丸めてつくる、町のお饅頭屋さん。

お餅も餡子もシワ一つなく、ツルツルに、まん丸に。


饅頭婆ちゃんは、その器用な手で孫である私によく服を作ってくれました。何十年も前から着物を素敵にリメイクして着ている饅頭婆ちゃん。

私にとって、服づくりの、そして着物リメイクの大先輩であります。


そんな饅頭婆ちゃんですが、今はお饅頭も服も作りません。
とても元気なのだけれど、手先が以前ほど器用に動かせないと。

今までなら自分でやっていた既製品のパンツの裾上げも、
ここ数年は私がやるようになっていました。


饅頭婆ちゃんはいつだって、私が縫ったものをとても嬉しそうに見て、
そして褒めてくれました。

「あんた、私の孫だねぇ~!!」


着物リメイクをはじめた頃から少しづつボケてきて、
毎回新鮮なリアクションで興味をもって見てくれます。

「あんた、服つくれるのか!!」



以前とは少し変わってしまった饅頭婆ちゃんを心配しつつも
笑いながら見守る日々を送っていたある日、
とある方から着物リメイクの相談を受けました。

ーーーリウマチで手が思うように動かせず、着物を着ることができなくなってしまった母の為に着物をアウターに仕立て直して欲しいーーー

私の頭に浮かんだのは、饅頭婆ちゃんの姿でした。


ご依頼を受けると同時に、私は饅頭婆ちゃんにも同じ服をプレゼントしたいと考えました。

◆手が動かしづらくても着脱ができるように
◆思い入れのある素敵な着物を使って
◆快適に過ごせるよう最適なサイズで
◆寒い日も暖かく過ごせて
◆体に負担のかからない軽い仕上がりになるように


そして完成したのが
【着物×キルティングリバーシブルコート】


大きめの本水牛ボタンを用い、軽やかで温かい中綿キルティングを片面に使ったリバーシブルで着られるコート。


二人のお婆ちゃんの為に考えた服だけれど、
年齢問わずに着られるようなデザイン。


中に沢山着込めるよう、ゆったりとしているけれども動きやすい袖まわり。
そして、首元が暖かいハイネック。


下に着ているセットアップとあわせて、
1/8(土)午前10時よりオンラインショップにてオーダー受付開始します。


もちろん、これまでのデザインも継続してオーダーしていただけますので、
是非ご覧ください!!


こちらのコートはお正月に饅頭婆ちゃんにプレゼントして来ました。
とーっても喜んでもらえました!!

そして放った一言、

「あんた、洋裁やっとったんか!!」


饅頭婆ちゃんも、周りにいる親族も、
笑顔溢れるお正月になりました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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