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【OB・OG訪問マッチング】 Matcherについて思うこと〜疑う目を養う考え方〜

人間って見返りを求める生き物だと思うんですよ。
ブッダはその教えの中で「見返りを求めない」と話したそうですが、それだけ「見返りを求める」ということは人にとって根深いということです。簡単にその心理から抜け出せるなら苦労しないですよね。

最近OB・OG訪問のマッチングサービスの「Matcher(まっちゃー)」というものを知りました。社会人側からは就活のアドバイスを、学生側からは社会人にとってのメリットを提供することでマッチングをはかるというサービスのようです。

ただ、実際に見てみると「就活の相談にのるので、就活の極意教えます!」などの進次郎構文(わからない人は調べてね)が多発。本来は正当なギブアンドテイクが成立するはずのサービスなはずが、社会人からの”ギブ”のみが提示されるエントリです。
それに対して私がまず漠然と思ったのは「若いうちから、人間に深く根付く心理を知る必要がある」ということでした。

Matcherとは

Matcherは、国内最大級のOB訪問支援サービスです。大学の先輩以外でも、気になる企業の気になる人に気軽にOB訪問をすることができます!
https://matcher.jp/

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おさらいですが、このサービスの中では、OB訪問をされてもいい側が「就活相談にのるので、見返りに●●してくれませんか?」という条件でエントリーを作成するものです。

例:
就活相談にのるので
ーおいしいお店を教えてくれませんか?
ー何か面白い企画を出してくれませんか?

やや脱線するのですが、「何か面白い企画をかわりに教えてください」というエントリをつくっていたのは某出版社の人だったのですが、さすがですね。学生のアイデアがよかろうが悪かろうが、大人の目線とは異なるものを取り入れるのはブレイクスルーのきっかけになっていいと思います。

さて、問題はここからです。

上に記載したのはギブアンドテイクが成立するエントリですが、これは全体の1〜2割であるという印象を受けました。上位のエントリの大半は最初に示したような「就活の相談にのるので、就活の極意教えます!」という進次郎構文型エントリです。

では、なぜこういったエントリが発生するのかについて考えていきたいと思います。

なぜ見返りを求めないエントリが多いのか?

可能性はいくつかありますが、大きく分けて以下かと考えました。

①心理的な充足がある・・・相談にのることで承認欲求を解消している
②不文的な利益がある・・・記載はないだけで見返りは発生している

これはマズローの欲求を上下段にわけたものとほぼイコールになります。

下段は生存的欲求(人間として生活する上で必要な欲求)、上段な内的(精神的な欲求であり、その到達点が「自分の望む自分になる」という自己実現の欲求です。この欲求は誰しもが持っているものですが、この自己実現を目指して行動している人間は多くはありません。自分の生活状況に完全に満足している人というのは多くはないのとイコールですね。

まずは社会的欲求など、外的なものによって叶えることができる欲求にしたがって動く人間が多いということは、生きている上で念頭においておく必要があると思います。

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(引用元:https://ferret-plus.com/5369

①心理的な充足を求めている人

心理的な充足を求めている人、要は「人に崇められたい」「ありがたがられたい」などの承認欲求があるような人は、相談にのるだけで自分の心理的欲求を解消しているため、見返りを求めません。むしろ、見返りを求めないことでより学生側から感謝されることすら欲しているのかもしれません。

これは一見してギブアンドテイクが成立していてよいもののように感じる人がいるかもしれませんが、私はそうは思いません。
自ら飼い慣らしている感情であればよいですが、承認欲求というものは際限なく肥大化し、そのうち人の手に余るようになります。他者によってしか叶えられない感情だからこそ、持て余したときに「どんな手を使ってでも承認を得たい」という暴走を引き起こすものです。

こういった感情を持っている人に接するということは、今にも割れそうな風船に手をかけるようなもの、と私は思います。
アラブの王族よろしく「小庶民の悩みを聞いてやろう」くらいの人も中にはいるかもしれませんが、その見極めをネット上で行うことは難しいのではないでしょうか。

②不文的な利益を求める人

目に見えてわかることですが、このタイプが一番危険です。

”自分が相手から搾取しようとしている何らかの利益”を相手に提示しないまま、取引を成立させる人間がいるとしたら、それはあまりに不誠実です。
不誠実な行為には不誠実な心が付随するものです。
相手がどんなに見かけは善人であっても、不誠実であることには変わりません。

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では彼らが隠している目的は何でしょうか?
全てを推察することは難しいですが、今回のケースでは以下があげられると思います。

・自身が所属する会社へのリクルーティング
・コミュニティ(サロン)への勧誘・・・ネズミ講、宗教
・広告収益・・・フォロワー数増にともなう案件化
・犯罪行為・・・薬物
・性的な満足・・・リアルで会う、性的な接触

下半分は犯罪絡みであり滅多にない(といいたい)ものですが、上位3つはかなり高い確率で発生します。

「ぼくの会社でインターン生を募集しているので、社会人の仕事を体験してみませんか?」

→労働力の搾取

「あなたと同じように就活で悩んでいる人が集まっているコミュニティがあるので、よかったら入ってみませんか?」

→コミュニティビジネス、宗教

「僕のTwitterやYoutubeで情報発信しているのでよかったらみてください!」

→広告収益


・・・どこかでこういったセリフを聞いたことがあり、何も考えずに相手の勧誘にのったことがある人は、単刀直入に言って「生きるスキルが低すぎる」ので気をつけて生きて欲しいです。

利益を得ることは悪か?


ここで大事なことは、コミュニティビジネス(ないしサロン運営)も、広告収益を得ることについても、犯罪行為でなければ問題はないということです。気にしなければならないのは「そうした利益を事前に相手に提示している人間であるかどうか」です。

真に相手に誠実な人間というのは、相手が理性的に判断できる材料を包み隠さず提供し、本当の意味でのギブアンドテイクを成立させる人間だと私は思っています。

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確かに、自分が得る利益を隠して集客し、誘導する方法は、効率がよい方法としては”正しい”のは事実です。また「相手に金の匂いがしたとたんに離れる」という人間の心理があることも。

ただ、取引相手である我々がその不誠実さに絡め取られ、不利益を被るような生き方は、御免ですよね。そのために、誠実さと、不誠実さを見分けられるような目を、若いうちから磨いておくということは重要だと思うのです。

ギブ&ギブの誘いには乗らない

「相手に利用される可能性がある」と理解した上で取引することもまた一つの選択です。とはいえ、不誠実な相手から得られる情報に、どれだけの価値があるでしょうか?また、自分の予想を超える方法で悪意の包囲を固めてくる可能性もあります。

私が言いたいことは「ギブ&ギブ」の誘いには乗らないことがベターな生き方だということです。

何もないことが大半な世の中ではありますが、それが対・自分のケースであるとは限りません。

また、ギブ&ギブで得たものより、自分から探り、獲得したもののほうが、より自分にとって実になるものだと私は考えています。仮に自分で獲得したものが役に立たなかったとしても、「なぜ役に立たなかったか?」「次はどう動いたらいいだろう?」と反省を繰り返すのです。それが森を出て狩りを捨てた人間という生物としての”成長”だと私は思います。人同士の連携もまた価値ではありますが、繋がりによって得たものは、繋がりの消失とともに無意味になることも多いですよね。

まとめ

就活は人生を決める大事な経験ですが、本当に必要なのは「生きる力」です。若い人たちが右往左往している様を毎年春見かけるたびに思うことです。

何かに左右されたりせず、自分の力で立って生きるための考え方を見つけることが一番大切だと思う、今日この頃。まあ、それがわかるのは、年取ってからだというのも、また味があっていいですけどね。

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