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LINE APIを取り入れる4つの利点

□LINE公式アカウントの開発依頼が増える理由を探る!

皆さんこんにちは。
弊社は元々、ネイティブアプリ(iPhone・Android)の開発を主たる事業として創業したのですが、時代の変遷により、LINE関係の開発相談を受けることが増え、気付いたら売上の7割程度を占めるようになっていました。

②成長グラフ

③ランキング

ここで「時代の変遷」と言い切ってしまうのは簡単なのですが、自社事業にLINEを使うメリットを整理することが出来れば、弊社になぜ発注が増えるのか、その原因がつまびやかになってくるかもしれません。そして、それはすなわち社会が今、ITに何を求めているか、どういう変化が欲しいのかを考えることにもなるはずです。
そこで、ポジショントークも多分に含まれるかもしれませんし、どうしても結論ありきになってしまうこともあるかと思いますが、ポイントを抑えて書き綴っていきたいと思います。

※なお、先日発生したLINEのトークの一部が外国企業から閲覧可能だった件の見解については文末に記載しております。そちらが気になるという方は先にご確認頂ければと思います。本記事の意図を明確にするため、このような構成にしています。あらかじめご了承下さい。

□2つのLINE公式アカウントの使い方

そもそもですが、弊社が取り扱っているのは「LINE」ではなく「LINE公式アカウント」(旧LINE@)となります。その上で、まずLINE公式アカウントはLINE社が公式で提供している管理画面の機能とAPIを使って個別開発をする範囲に分かれます。

APIについて少し説明しておくと、自社のシステムを第三者が(ある程度のところまで)自由に使えるように仕様を公開していることを指します。IT企業というのは有料・無料問わず利用者数の多さがそのままサービス価値に直結するため、このようにオープンな戦略を取り、APIを伝って色々な入り口から自社のサービスへのアクセスに期待をするわけです。今後もAPIを公開する・使用するといったことが頻繁に起こると考えます(APIについては別途、社名変更の記事を出す際に掘り下げることとします)。

API連携実績-01

いずれにせよ、弊社の注力している事業領域は後者「APIを使って個別機能の開発」になりまして、依頼者の業務のうちデジタル化出来そうなことをLINEというコミュニケーションツールで代替えするお手伝いをしているということになります。例を挙げると「予約」や「手配」「チェックイン」など。どのサービスも以下のようなプログラム処理を実装します。

⑦フロー図

1.ユーザーからのトークをトリガーに
2.システム側で何かしらの機械処理を行って
3.LINEに結果を返す

(図にすると、LINE連携箇所はこれくらい軽量かつシンプルな構図となります。プログラム処理部分をどれだけ作り込むかで、ボリュームが変動します)

⑤効果試算
また、弊社の場合は更に踏み込んで「○○業界に特化したLINE公式アカウントの拡張機能」という形で自社事業化しているものもあります。例えば、LINEからQRコードや会員番号を読み取ってそのまま会員証代わりにしたい、こういう使い方というのは汎用性があり、かつ想像が出来ることです。そこで、依頼ありきではなく先にこちらで必要機能を作ってしまい、後は簡易なカスタマイズで複製し、拡販する。これにより、時間やコストを多分にかけることなく、部分業務をインスタントにデジタル化出来るといった利点があります。
その急先鋒として、建設業向けに開発したものが『ケンカツ』ということになります(ケンカツについては次回更新予定です)。toCの印象が強いLINEですが、弊社はtoBに対して、しかも、建設業という中々レガシーかつ重厚な産業に自社サービスを当てていく戦い方が、非常に珍しい事例なのではないかなと自負しているところです。

□最も手軽な使い方

さて、それでは具体的にどのような使い方をしているか、弊社の考える最も手軽な活用方法ご紹介します。それが「LINEログイン」というソーシャルログインの仕組みを使い、自社サイトのフォームの登録情報とLINEアカウントを紐づける、というものです。仕様としては以下です↓

④フォームにLINE連携

自社サイトの問い合わせフォーム内に「返事をLINEで受け取る」という選択肢を追加(あるいはフォーム送信完了後のサンクスページ等に「LINE連携ボタン」を配置)
→ユーザーがLINEと連携するかを任意で選べるようにし、同意したユーザーに関してはそれ以降のやり取りをメールではなくLINEで行う。
例えば「入荷待ちの商品が入荷したよ」などのタイムリーかつ重要な情報をメールではなく開封率の高いLINEに送りたい、こういうことは誰でも考えるはずで、これだけでも十分に活用の余地があるかなとは思っています。
それ以外にも、LINEアプリという明確な作り方があるわけではなく、実態はwebアプリなので、webサイトで想像出来ることは何でも実装出来ます。具体的な実装例や活用例をこのnoteで取り上げていきます。ちなみに、LINE公式アカウントを自社事業に取り込む場合、よく聞かれることがこちら辺りです↓
・POSレジとの連携は?
・アフィリエイトはどうなる?

□4つのメリット

それでは、LINEを使うメリットを挙げていきます↓

①利用ユーザーの多さとスマホ内のポジションの高さ(MAU)
これは一番分かりやすい強みですね。利用者数のみならず、ほとんどの人のスマホの1ページ目の最も目立つ位置にLINEのアイコンが置かれていると思います。つまり、決してお飾りではなく、ちゃんと使っている人(アクティブユーザー)の割合が異次元に高いということです。開発したアプリを普段使いしてもらうということがいかに難しいか、これは本当に実感しているので、このスマホ内のポジションの高さというのはそれだけで価値のあることです。
もちろん、LINEアプリ本体のインストール数が多いだけで、LINE公式アカウントはそれ自体の友だちを増やす必要があります。ただ、「スマホアプリをインストールして下さい」と「LINE友だち追加して下さい」だったら、ハードルの高さは後者の方が低いと思いませんか?すごい軽い気持ちでサービスを始めるその入り口で、専用のアプリをインストールしなきゃ何も出来ないというのはユーザー心理として少し高い気がしています。実際、広告効果で比較した際、アプリのダウンロードとLINE友だち追加のコンバージョンは半分くらい(弊社の所感)という事例もあります。他にもいくつかあるのですが、広告営業っぽくなるのでここら辺にしておきます。

②ツールとコミュニティを両立している
そもそもLINEはチャットツールであって、SNSという括りではありません(タイムラインは後から出来たものです)。一方、FacebookはSNSをベースにし、そこにメッセンジャーが付いているという立て付けになりますね。つまり、スタート時点では、流れやすいタイムラインへの共有ではなく「相手を指定して直接的にメッセージを送る」という点に特化して機能が作られています。
更に、LINE公式アカウントには一斉送信やセグメント配信が用意されており、プッシュ型の情報発信についてはめっぽう強いということになります。メルマガの上位互換のようなイメージですよね(開封率については…メールでもLINEでも同じことは言えるので、これについては割愛します)。LINE公式アカウントを間に挟むことで、相手とアドレスやIDの交換や繋がりを創出する必要なく、チャットツールとして直接的なコミュニケーションが取れるということです。ビジネスにおける「客-店員」等の双方の関係は基本的にこのような間柄になるため、ツールとコミュニティを両立したUXにおいて使える、ということです。

③そして、最も大きな魅力がLINE公式アカウントとAPIの存在です。情報共有のツールに何を使うかだけの議論なら、確かに他のSNSでも代替えは出来るかもしれません。むしろ、広く拡散させることを考えたらLINEより優れたものはあるでしょう。ただ、「既存のアプリ内にAPIを使って独自アプリを開発」ということで考えた時、一切の換えが効かないくらいにLINEのAPIは秀逸です。常に3歩くらい先回りして用意されており、「あぁ…そういうことか。なるほどね」と思うことが非常に多いです。
FacebookにもFacebookページというLINE公式アカウントと同様の存在があります。弊社でも一部のサービスでFacebookメッセンジャーを併用したことはありましたが、全然追いついてこない感じでした。メールも同様です。LINEが提供しているようなインタラクティブなUI(リッチメニュー等)を起点にし、サービスを提供することが出来ません。
そうなってくると、これまで述べたLINEの強みを手放して、スマホネイティブかwebアプリとして作ることになるでしょう。

④仮にネイティブアプリを作るとして、開発費用はどうなるでしょうか。これも弊社の独自見解で恐縮ですが、倍くらいかかります。LINEは良くも悪くもUIが固定されているので(とは言え、FLEXメッセージなどそれなりに多彩なものが作れる環境が用意されている)、デザインやUIなどを作る工数がかかりません(webページ側をゴリゴリ作るなら別)。
また、アプリストアへの申請も審査も不要なので運用も容易です。それは同時に複製が容易という利点を産みます。エリア限定、組織限定、業種限定等、限定アプリを作っていく時にLINE公式アカウントは非常に便利でして、いわゆる「ノーコードでオリジナルアプリを作ろう」のLINE版が可能です(これについては別記事で)。
LINEのAPIが公開された4年ほど前、スッと入っていったのは、ノーコードで独自のアプリケーションを持ちたいというニーズが未来に起こり得ると、ぼんやりと見えていたからだと思います。それは弊社がスマホアプリの開発からスタートし、アプリの開発や運用の経験を積んできたからこそ、その価値に気付けたとも。その時は言語化出来ていなかったかもしれませんが。

⑤個人情報を特定せずターゲットが出来る
4つと言いつつ5つ目があります。これについては別記事で。

□LINEを使うという発想は誰でも思い付くこと

以上、ここまで色々言ってきましたが、結局、どんなツールを使うにせよ、アクセスするのはサーバー上のデータベース等であって、情報を入れるか取ってくるかしかない。その際のフロント側をアプリケーションと呼んでおり、LINEという選択肢を追加しませんか?という提案です。
LINEを使いたくない人もいれば、使いたい人もいる。同じように、スマホアプリやwebサイト、SNSにもそれぞれ必要なシチュエーションがあるでしょう。それらを駆使し、デジタルツールを使った総合的な戦略策定や見直しを行う。ここからここまではwebサイト、ここからはSNS、その先はアプリ、あるいはLINE、どれが不要かどれが一番かという話をしているわけではなく、むしろ、LINE公式アカウントが他のどれも担えない、独自のポジションを取り始めてきてるよね、という話です。
実際、SNSのトップ固定にLINE公式アカウントを掲げる人や「続きはLINE友だち追加で↓」というシチュエーションが増えました。Twitterで集客し、LINEに溜め込んだ上で直接的なコミュニケーションはLINEで行いたい、そういうことだと思います。
それらひっくるめ、便利になるということは「選択肢を増やす」ということだと思います。これはデジタルデバイド解消においても有益で、「目新しいもの」や「これまでなかったもの」の前に、それらはきっと「良いもの」であるべき。デジタルにおける「良いもの」とは「皆んなが使えるもの」そしてそれはすなわち「公益性の高いもの」と言える。
弊社は事業の自由度を追求出来る「個別開発」を重要視しており、LINE公式アカウントにはその余地ある。そこが非常に好きですし、提案しやすいと感じています。開発会社的なスタンスでの意見にはなってしまうのですが、少なくともまずは検証用やMBOとしてLINE公式アカウントでファーストプロダクトを作ってみるというフェーズにおいて、「新規事業」「業態転換」両方の側面から使い勝手の良い存在です。
ここまで書いておいてなんですが、事業にLINEを使うということ、それ自体がめちゃくちゃイノベーティブだとか、ものすごいアイディアだとかは思っておらず、「こういうのないかなぁ…(ないよなぁ)」という感じで、ある意味、誰でも思い付くことだったりします。それほど特別なことではないということです。
それがたまたまケンカツを見て、「えっ?今ってLINEでこんなこと出来るの?問い合わせてみよう」を喚起したのだと考えています。

長くなりましたが、冒頭の問いに対する結論めいたことも出たので、ここら辺で結びたいと思います。 事業にLINE公式アカウントを取り入れること、少しでもご興味を持って頂ければ幸いです。

PS
ちなみに、APIは専門的なプログラミング技術がなければ構築出来ませんが、公式で提供している機能の範囲内であれば誰でも無料で開設・運用が可能です。活用方法が分からない・提案して欲しいという場合もお気軽にお問い合わせください。
http://injus.co.jp/botfor/index.html


□追記:外国企業から閲覧可能だった件

LINE社の公式見解や対応はこちら↓や記者会見等、
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3675
ご参照頂いた上、一般的なLINEの利用については各個人のご判断だと考えます。
あくまでもAPIを利用している開発会社の視点として、弊社サービスである「ケンカツ」がどうなっているかをご説明致します。

まず、LINEで個人情報を扱うか否か、そこだけでセーフかアウトを判断してしまうと、個人や特定情報を必要とした「踏み込んだサービス」を展開していく時に説明が不十分です。一方的なプッシュ型の情報発信のみならず、インターネットが個人を特定するからこそ享受出来る利便性というものはあるはずで、実際、『ケンカツ』は利用者様から職人や工事会社、案件など、個人や特定の情報をお預かりすることで「マッチング」の機会提供が可能になっています。従って、これまでもこれからも、皆様からの個人情報の取得が必要となりまして、この視点を含んで言及致します。

ただし、ケンカツはLINE上で個人情報を取得しているわけではなく、正確に言うと「個人情報を自社サイトで取得し、その情報をLINEアカウントと紐付けている」という表現になります。
具体的な仕様としては、LINE内に設置したリッチメニューの一つに登録フォームを作り、それをタップする時にLINEログインに同意することで登録フォームのユーザー情報とLINEのアカウント情報が紐付き、メールの代わりにLINEで配信出来るようになる、ということになっています(文中で紹介した内容です)。そして、その登録フォームは弊社契約のサーバー上にアップしているため、LINEと言えど外部から閲覧することは出来ません。
イメージ的には、Gmailに自社ストレージ(画像や動画が保存されている)のURLを送った場合、それ自体は本文もURLもテキスト状のものでしかありません。そこにアクセスされるかどうか、ということが争点になってきまして、今回の件はサービス(ケンカツ)側のデータベースに直接アクセスされてデータが漏れた等ではないということです。
また、それらの登録情報をLINEのトーク画面で送ることはありません。保護されるべき重大な情報は全て、「管理システム」の中に入っています。サーバー内の情報の中から必要最小限だけを出し入れし、出入り口の水際部分だけでLINEに受け渡している、ということになります。例えるなら、宅配便を受け取る時、室内には入らず、外に出て必要な荷物だけを受け渡しをするイメージです。
従って、LINEが外国企業から閲覧可能だった=ケンカツで持っている秘匿性のあるユーザー情報が流出した、ということにはそもそもならないですし、今回の件は全くの別問題です。
強いて言うなら、冒頭で申し上げた通り、マッチング機会を作るために最低限必要な、インターネットへの公開を前提としたオープンな情報は除きますが、LINE公式アカウントのトークは国内サーバーに保管されていることが確認されています。ケンカツはLINE公式アカウントであり、かつ基本的な情報伝達はトークのみなので、この点に関しても今回の件、影響はないものと考えております。もちろん、現時点で外部からの不正アクセスや情報漏洩は確認されていません。
サービス側はサービス側で独自のセキュリティ対策をしていますし、本件に関するLINE社の対応(具体的に言えば公式アカウント含めたサーバーの国内移行)も発表されております。

一方、そのAPIの一つであるLINE公式アカウント(Messaging API)が弊社やケンカツのアイデンティティを構成する最重要の存在であることは変わりません。本件はネガティブかつ真剣に考えるべきニュースではありますが、起こったことに対して真摯に受け止め、どういう見解と対策を講じるのか、そのプロセスそのものがソリューションを提供していく企業のあるべき姿勢であり、社会を良くしたい、便利なものを作りたいという、チャレンジングな取り組みの中で起こり得たことと理解をしています。

それらを総合的に判断し、改めて「ビジネスにLINE公式アカウントを使うメリット」というものを提案していきます。元々出そうとスケジュールを組んでいたこの記事コンテンツも予定通りの内容で公開します。
なお、受託開発として提供している弊社クライアント企業様に対しても、基本的に上記と同様の仕様になっています。ユーザーさんへの説明については本投稿をご参考下さい。既に取引先には本記事を共有していますが、お問い合わせ頂ければ個別にご返信致します。

上記とは全く別の話で、ケンカツのネイティブアプリ化は開発計画のテーブルに上がっていたことでして、今後は管理システムをスマホアプリとして開発していく予定です。それも含めて今回の件が戦略に大きく影響することはございません。
弊社からは以上です。

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