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【新型コロナ】感染者増加への反応は3つに分かれる

東京を中心に感染者数が増えてきました。この状況に対して、みんないろいろな反応をしているように見えます。ここでは反応によって人が3タイプに分かれること、それぞれのタイプの違いについて書いてみます。

僕が見る限り、最近の感染者増加に対する反応は以下の3種類です。
①感染者が増えているから対策が必要
②感染者は増えていても重症者や死者は増えていないから対策は不要
③感染者数は重症者数や死者数の先行指標であり、これからそれらが増えるため対策が必要


ここではいったん経済とのバランスなどは無視して、単純に感染の程度と対策についてだけ見てみます。

①感染者が増えているから対策が必要


3タイプの中では最も単純と言える考え方です。テレビでもネットでも感染者数がいちばん大きく取り上げられており、その影響をストレートに受けているタイプと言えるでしょう。
東京で言えば、100人を超えたからちょっとやばい、200人を超えたなんてめちゃくちゃやばい、という感じ方です。こんなやばい状況なんだから、緊急事態宣言や自粛要請など、何らかの対策が必要だと感じています。

②感染者は増えていても重症者や死者は増えていないから対策は不要


日々の感染者が増えていても、それらは検査数が増えているからで、もっと大事な指標である重症者などは増えてない、だから対策なんて必要ないという立場です。①の人たちに対して、やや上から目線で論じている印象があります。
この人たちが本当にそう思っているのか、それとも対策が不要だという結論をサポートするために無理やり理由をこじつけているのか正直分かりません。

③感染者数は重症者数や死者数の先行指標であり、これからそれらが増えるため対策が必要

新型コロナについてある程度勉強している人たちです。感染者数は言わば炭鉱のカナリアで、その先にもっとひどい状況が待っていることを理解しています。②の人たちとは議論が噛み合わず、あまり交流がありません。
新型コロナの理解度が高く、そもそも封じ込め前の緊急事態宣言解除を良く思っていないタイプです。


このように3タイプに分けてみましたが、それぞれの違いはどこにあるのでしょうか。具体的な違いとそれを抽象化したことに注目して、それぞれのタイプの違いを論じてみます。

①と②の壁:複数指標を見られるか

①と②の違いは、感染者数だけを見ているか、それに加えて重症者数や死者数までを見ているかです。これは抽象化すれば、単一指標のみを見ているか、複数指標を見ているかということです。
言うまでもなく新型コロナにおいて感染者数はとても大事な指標です。しかし、それだけを見ていては本質を掴み損ねます。②の人たちの主張のとおり、いくら感染者が多くても、重症化していないのであればそれはただの風邪であり恐れる必要はありません。
②の人たちは感染者数以外の指標も見ているという点において、①の人たちよりも新型コロナを理解していると言えるでしょう。

②と③の壁:未来予測を受け入れられるか


②と③の違いは、現在の重症者数だけを見ているか、それに加えて未来の重症者数までを見ているかです。これは抽象化すれば、現在の指標のみを見ているか、未来を予測した指標まで見ているかと言うことです。
僕の見立てでは、この壁は①と②の壁よりもずっと高く強固なものです。ほとんどの人は仮定法を理解できず、仮定をおいた上でのシミュレーションを受け入れることができません。それゆえ、このままでは1ヶ月後にこうなる、と言われても現実感がないのです。
さらに新型コロナでは各指標が指数関数に従っており、そのことが理解の難しさに拍車をかけます。人は単純な線形での推移を理解できても、指数関数の推移は全くと言っていいほど理解できません。今は日々の感染者が数百人程度で、これが1ヶ月後に数万人のオーダーになる、と言われても腑に落ちないのです。

まとめ

僕の感覚では①②③の人数比が大体7:2:1くらいです。
そして注目すべきは、①と③では見ているレベルが全然違うのに結論は同じになっているということです。これはどういうことかと言うと、③の人は①のふりをした方が説明コストをかけずに自分の信じる結論を展開できるということです。実際、世間話くらいでいちいち先行指標と遅行指標について語る人は少ないのではないでしょうか。
それもあって、①の論がとても多く見えているのではないかと思います。③くらい深く考えた後で、考えたことを全て出さずに、結論が変わらない範囲でオーディエンスのレベルに応じて論理展開を行う。これは仕事でも役立つスキルだと思います。

以上、僕が最近の新型コロナに関する主張を見ていて思ったことでした。感想などいただけると嬉しいです。
Twitter:https://twitter.com/hiyo_chang

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