斬られて候23
客層はほぼ常連だけで、初見さんは古めかしい店構えだけで足踏みしてしまう。
定食の品数よりも酒の趣向に寄った小鉢のほうが豊富で、下戸とのんべえが話すのにはもってこいの店である。
二人は店主とも顔馴染みで、長話になりそうだったら裏の厨房に椅子を持ち込んで飲み食いするのが通例になっている。夫婦だけで切り盛りしているからできることだ。店主も無論、会話に参加しながら調理をしていた。
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