斬られて候2
一拍の間もあけず、かっぱり開いた口から断末魔の叫び声を上げ、血しぶきが吹き上がった。侍は返り血を物ともせず、次の敵にと鍔迫り合いをしている。
はたり。
反り返りながら倒れた野武士役の是枝は虚空に無念を浮かべ、体から問答無用に抜ける力に抗いながらも、乾いた砂の上を転げると、握った刀を離さず事切れた風に演じた。
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