アパートの空室率と需給バランスを深堀りします

はじめに

平成30年の国勢調査の結果、
全国の賃貸住宅の空室率は平均18.5%
10戸の部屋のうち約2戸が空室だそうです。

データに間違いはないと思います。

ただし、あくまで平均であり新築から超老朽化物件、そして街中から過疎地までごちゃ混ぜした空室率18.5%です。

そのデータを盾に『現在アパートは余っているのに建て過ぎだ』、『将来は人口減少でアパートの空室率は40%だ50%だ』と根拠のないプロパガンダで自分の商売に引き込む人がおります。

では本当にそうでしょうか?

今回は
●空室率18.5%で市場は飽和状態か?
●将来は人口減少で空室率40%50%になるのか?

この二つについて深堀りします。


ここから本文です

ここでは私の会社のデータもありますが、今回は自分の足とお金を使って調べたデータの一部を紹介します。

調査場所は二箇所 

1.政令指定都市の中心部、商業地域の隣町で駅から徒歩10分圏内
賃貸物件の多くはRC(鉄骨コンクリート造)で賃貸物件のニーズが高い場所です。

建物の築年数割合
  0〜10年    13%
11〜20年    14% 
21〜30年    15%
31〜40年    38%
41〜     年    20%

空室率
新築〜30年 2%
31   〜40年  6%
41年〜
  管理が出来ている物件8%
  管理がされてない物件10〜30%
  超築古で30〜100%(物件少数)

まとめ
築年数30年超物件が全体の6割です。
これから20年後以降は更に老朽化物件が増える事が懸念されます。
空室率については、立地が良く管理が出来ていれば入居率は高い状況です。
40年超になってくると管理の違いで差があります。

2.1の場所から電車で15分、最寄り駅から30分、車やバスが必要な住宅地で軽量鉄骨や木造のアパートが多い場所です。

建物の築年数割合
  0〜10年      6%
11〜20年    13% 
21〜30年    63%
31〜40年    11%
41〜     年      7%

空室率
新築〜20年 3%
21   〜30年  6%
31年〜             
管理が出来ている物件6%
管理がされてない物件10〜20%
超築古で30〜50%(物件少数)

まとめ
この場所は40年位前は田畑が多く時代の流れで住宅地域になった場所です。
21〜30年物件が全体の6割を占めています。
農地から住宅地に町並みが変わるその時代、農業を辞めた地主さんがアパートを建築しました。
おそらく日本全国で起きていたと思います。

こちらの地域も構造体の耐久性から20年後以降は老朽化物件が多くなります。
市街地と変わらない点としては管理が出来ていれば入居率は高く逆は空室率が高くなります。
ただ市街地のオーナーと違う点として殆どのオーナーは管理をしっかりしております。
管理をしていない物件はほぼ無く数棟程度です。老朽化物件の空室率は高いですが分母か少いです。

なぜ殆どの物件が管理をちゃんとしているかと言えば、地主さんの繋がりがあり人の目が気になり、空室や見た目が悪い事を気にしているからです。

世代が代わったり、高齢になると管理が悪くなり空室が増える傾向です。



総評

ここからが本題の答えになります。

まず空室率は本当に18.5%か?
答えは
詳細をご覧頂いた通り、ニーズのある場所で管理を怠らなければ入居率は高いです。ぜんぜん違います。
現在の空室率を上げている主な要因は老朽化物件の管理不足と過疎化が進行している地区に建てられ、経営を諦めた物件です。

空室率18.5%については以上です。 


次に

将来は老朽化物件が増え空室率が40%50%になるか? 

答えはノーです。

確かに私が実際に自分で足で調べたデータだけ見ますと、
このままでは日本中の殆どの地域で賃貸物件は老朽化物件だらけになるような気になります。

ただここで一つ、まだお伝えしていない事があります。

それは滅失です。

建物にも人と同じで寿命があります。

老朽化し収益性の悪い物件をそのままにするオーナーは誰一人いません。

古い建物から順に無くなります。
現在の市場に有る建物の寿命は、構造体によりますが40年〜60年です。

例えば現在の新築〜40年超物件の総数を100とします。

1.の政令指定都市の中心部で
このまま新規供給をしなければ

10年後は滅失し
今の100が90になります。

20年後は
今の100が72になります。

30年後は
今の100が52になります。

現在の物件がいずれ滅失されれば
市場の老朽化物件数は減り
将来の空室率は上がりません。

むしろ需要に対し供給が足らない状態になります。

では人口減を加えて、需給バランスはどうなるか検証します。

現在の
人口を100%
賃貸物件を100%
として

10年後は
人口100%が94%になります。
賃貸100%が90%になります。
4%足りません。

20年後は
人口100%が88%になります。
賃貸100%が72%になります。
16%足りません。

30年後は
人口100%が76%になります。
賃貸100%が52%になります。
24%足りません。

例えば人口50万人、世帯数100万の街として
10年後の賃貸物件の不足数は

10年後の人口
50万人✕94%=47万人

10年後の世帯数は
47万人✕2人/世帯=84万世帯

84万世帯の必要賃貸数は
84万世帯✕30%=25万世帯

25万世帯の必要数に対し不足は
25万世帯✕4%=1万戸

このまま新規供給をしなければ
10年後47万人の街で1万戸の部屋が足りなくなります。
年間では1.000戸の供給が必要です。

現在50万人の街で、
今後年間1.000戸を供給すれば需給バランスは保たれます。
1.000戸をオーバーすれば空室率が上がり、下回れば下がります。

10万人や5万人の街でも同じ事です。

人口減少と賃貸物件の滅失数で供給計画を立てれば、空室率を心配する必要は無くなります。

20年後30年後も同じ事で、現在の賃貸物件がいずれ老朽化し滅失され、将来は不足します。

巷では空室率と人口減少を盾に
『今のアパートは余っていて、更に将来は人口減少で空室率40%50%になる、これからアパートを建てるなんて馬鹿げている』それって真実なんでしょうか?
本当は新規で建てられる事を恐れる人、自分の商売に繋げる為のオーバートークだけかもしれません。

まとめます

1.人口減少は事実です。


2.現在の空室率18.5%は場所と管理状況で違います。適切な場所で真当な経営をすれば空室率は低いのが実態です。


3.将来は人口減少よりも必要な場所に物件が足りなくなります。
空室率が40%50%になることはあり得ません。


4.市場を診て必要な場所に計画的に供給する必要があります。


今回は以上となります。

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今回も最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
また他の文章も読んで貰えれば何かのお役に立つかと思います。是非読んでみてください。

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