おじいちゃんの「悩みをぶっとばす樹」
「りさ、これは悩みをぶっとばす樹じゃ」
ある日、祖父が庭にある樹を指差しながら私に言った言葉である。
10年も前になるだろうか。当時の情景は今でも鮮明に覚えている。
特段会話をしていたわけでもないのに、庭の樹を見渡していた私の背後から歩み寄り、かけてくれた言葉だった。
<祖父が指差した樹のイメージ>
祖父と私の会話は決して多くない。
祖父に電話をしても、すぐに祖母に代わろうとするし
座っているといえば、食事のときと好きな時代劇を見ているときが多い。
何かをしてい