予習復習、「見えない(国)境、壁」を考える。
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予習復習、「見えない(国)境、壁」を考える。

7月からアートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」(以下、(国)境)の担当になりました。東京アートポイント計画として立ち上げて現在2年め、コンセプトや体制、実施計画のフローがまとまって、ぐいっと姿を表すタイミングです。公式サイトもアップされたばかり。新たなプロジェクト「kyodo 20_30」のメンバーの募集もスタートしました。

『東京で(国)境をこえる』は、多くの在留外国人や海外にルーツを持つ人々が生活する東京で、「東京には見えないことにされている様々な壁がある」という仮説をもとに、その「見えない(国)境、壁」について考察するアートプロジェクトです。東京に生きる人々、特に外国にルーツを持つ人々が感じる個人と他者/社会/世界との境界と、それにまつわる問題を探りながら、日常的に出会う場を生み出す拠点(コミュニティ)の形成を目指します。

                         ※公式サイトより

「多くの在留外国人や海外にルーツを持つ人々が生活する東京」は、同じ社会に生きる者として積極的に向き合っていくべきことであると考えます。東京アートポイント計画ではこれまでも、若者、地域、コミュニティ、表現といったさまざまなアプローチから「ひとりの個人との出会い」を大切にしながらアートプロジェクトを展開してきました。

イミグレーション・ミュージアム・東京(IMM)(2010-)
地域に居住する外国人との交流を通して企画されるアートプロジェクト。地域に暮らすニューカマーの生活様式や文化背景を紹介するとともに、それが日常の中で変容していく諸相を「適応」「保持」「融合」という3つのキーワードから探る。
Betweens Passport Initiative(2016-2018)
『移民』の若者たちを異なる文化をつなぐ社会的資源と捉え、アートプロジェクトを通じた若者たちのエンパワメントを目的とするプロジェクト。
SOWING EAST(2018)
東東京に暮らす外国人の方々へのインタビューリサーチプログラム。

(国)境のプロジェクトでテーマになるのが、世田谷区経堂エリアをベースとして「見えない(国)境、壁」について考えることです。上記の先行事業は直接担当していなかったので、知見を鍛えるべきタイミング。6月の記事で触れましたが、コロナ禍にあって東京をのびのびと歩き、プログラムオフィサーとして必要な身体的インプットを得ることが引き続き難しい状況です。インターネットで情報の端をつかまえることはできても、なかなか手応えが、ない。

身近なところから考える。

つかまえた端のひとつが入管施設における外国人の長期収容問題に関する映画やトークイベントで目にした「#FREEUSHIKU」でした。USHIKU・・・牛久?私にとっては見慣れた隣町の名前です。20年前に行ったフジロックフェスティバルでミュージシャンたちが高らかに叫んでいた「フリーチベット!」のあの感じ。昨今Twitterで目にする「#FREE REFUGEES」「#FREE HONG KONG」の大きなスローガンのあの感じが、身近な地名に置き換わってそこにある。もそもそと気になり出していた牛久入管(正式名は東日本入国管理センター)を調べていくにつれ興味が湧き、面会行動を続けている支援団体を通じて面会ボランティアに応募することにしました。夏休みをとっていざ牛久へ。支援団体の方についてガラス越しの面会、傾聴を経験しました。

「ひとりの単位」から考える。

コロナ禍にあって、在留外国人や海外にルーツを持つ人との距離は、物理的にも心理的にも開いていくのではないか、と感じています。「見えない(国)境、壁」はきっと日常のいたるところにあって、文字通り「見え(てい)ない」だけなのではないか。あるいは「見ようとしていなかった」ということかもしれません。面会ボランティアを通して出会うことができた方とは、手紙や差し入れを通して交流を続けようと思います。隣町の隣人を「境」を超越して特定の隣人として感じ「そのひとりの人」から考えることで、日常的に想起することができる。アートプロジェクトの原点的所作から手応えを得たことで、(国)境への伴走も迷うことなく進めそうです。

プロジェクトを説明する際に、大文字の「社会課題への応答」という言葉をよく使います。しかしながら、実際のアクションはいつでも「ひとりの単位」から考え、出会っていくことです。動き出した「東京で(国)境をこえる」。これからどんな人に出会えるか、物語を紡いでいけるか、本格始動の入口に立っています。

kyodo 20_30オンライン説明会
『kyodo 20_30』の参加者(プレイヤー)募集にあたり、オンライン説明会を実施します。「プレイヤー」とは、コラボレーター(様々な領域のプロフェッショナル)と共に『kyodo 20_30』を動かしていく20歳から30歳のメンバーのことです。ディレクター矢野靖人とコラボレーターが、プログラム内容について具体的にお話しします。興味はあるけど参加のイメージが掴めない、何をやろうとしているかいまいち分からないといった方に向けて、オンライン配信をしますので、お気軽にご視聴ください。

9月6日(日)14:00~16:00(YouTubeライブ配信)
※詳しい視聴方法はウェブサイトをご覧ください。なお、配信後もYouTubeチャンネルから視聴可能です。
https://youtu.be/EGRUW-4x61s


(公財)東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京所属。東京アートポイント計画プログラムオフィサー。2009年の立ち上げ期より現職。現在はチームのとりまとめを担当。趣味は田植えと選曲。