#ネタバレ 映画「ボディガード」
「ボディガード」
1992年作品
自嘲
2003/9/6 21:48 by 未登録ユーザ さくらんぼ (修正あり)
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
( ラストシーンがでてきます。)
ケビン・コスナーの作品の中では上位に入る佳作である。とりわけケビンのサムライぶりは日本人の目から観ても爽やかで、演出も上品である。
ヒロイン・レイチェルの妹が、ひそかにレイチェルのボディーガード・フランクを好きなことが暗示されたとき、私はレイチェルに送りつけられた脅迫の手紙「あなたはすべてを手に入れた。しかし私は何も無い」を思い出した。そして、このエピソードのワンピースが他のシーンにも合致しないかと考えた。
そうしたら、少し変形ながら「叶わぬ望み」というキーワードで主な登場人物が括れる事が分かった。前述した二人のほかに、映画の冒頭に登場して駐車場で命を救われた男は、フランクに惚れても専属のボディーガードにする事が出来なかった。レイチェルも恋を成就する事は出来ない。
フランクは大統領の護衛という名誉ある大役を果たせなかった。自分は非番だったとはいえ、チームの一員としての重責を感じていたのだろう。その誇りが、(言い訳つきで無ければ話せない)秘密に変わってしまった。
真犯人については詳しく描かれなかったが、映画の文法で言えば、同様に、仕事での失敗が転落のきっかけだったのだろうか。
映画の中盤、フランクとレイチェルが「アタシ」という名の映画館で黒澤映画「用心棒」を観る。フランクの大のお気に入りだ。「用心棒」の劇中、三船ふんする用心棒が言う。「まったく馬鹿につける薬は無い」。この言葉は映画「ボディーガード」の中では一体誰に向けられた言葉なのだろう。
やがて映画のラストがやってくる。牧師が手に十字架(無線発信機らしい)を持ち、大勢の前で話をしている。その手がアップになると、奥でフランクがボディガードをしているのが見えた。一画面に二つが同時にストップモーションで数秒間写る、フランクが神のポジションに立つ、重く意味深長なシーンである。この映画は「人には神の代わりが出来るのか」と問うているのだろうか。
神頼みでも「叶わぬ望み」は、人は人知を尽くしてでも叶えたいと努力する。それは神の視点から見れば「まったく馬鹿につける薬は無い」という事なのかもしれない。自分が非番の日の出来事にまで責任を感じるフランク。それは神の御技にまで立ち入る事になりはしないか。しかし、私たちは時にそうしないではいられないのである。
追記 ( 往々にして敵は身内にいる )
2016/2/2 17:55 by さくらんぼ
すでにレビューを書いていたのを忘れて、また書いてしまいました。どうしようかと思いましたが、とりあえず掲載させていただきます。似ていながら、微妙に違います。
ボディガードのフランク(ケビン・コスナー)は、レーガン元大統領の警護もしたことがありましたが、母の葬儀に出ていて非番の日に、レーガン暗殺未遂事件が起こり、今も悔やんでいます。
その後、フランクはスーパースター・レイチェルのボディガードをすることになりましたが、レイチェルがフランクに惚れてしまったので、フランクはビジネスライクな仕事ができなくなりました。また、レイチェルの妹・ニッキーや、フランクの元同僚・ポートマンがレイチェルの命を狙います。
映画のラストには、神父様が説教をしているシーンもあります。神父様は手に十字架のような発信機(!?)をお持ちで、後ろにはフランクが目を光らせていました。神父様なら神様を信用しなければならないと思うのですが、フランクにガードを任せているようです。もしかしたら、神様の目から見れば、そのような神父様やフランクたちは不信心に見えるかもしれませんね。
この映画「ボディガード」はそのような映画なのかも。“往々にして敵は身内にいる”と言う。
すっぴん!?レイチェルの目が普通の大きさで、なぜかホッとしましたし、フランクのサムライ風の演技や、ショートカットな髪形もクールです。
★★★★★
追記Ⅱ 2022.7.10 ( お借りした画像は )
キーワード「歌手」でご縁がありました。まもりたくなる可愛さですね。無加工です。ありがとうございました。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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