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#ネタバレ 映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」

「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」
2009年作品
人はみな自分のパッチを求めている
2009/12/16 22:09 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

社長はとても優しく小心者に見えました。社長になってもそうなのですから、新入社員の頃は、想像出来ないぐらい、もっと優しく小心者だったのでしょう。

それでも社長になれたのですから、その苦労は、さぞかし大変なものだったのでしょう。だから社長は、新入社員の面接では、かつての自分と同じような、少々泣きの入った人間を採るのだと思います。人ごとだとは思えなくて、つい手をさしのべてしまうのでしょう。

でも、面接が終わった後、社長は独り、後悔のため息をつくのだと思います。「また、わが社には損失だなぁ・・・」って。映画のラストに、面接を終えた社長が履歴書を机から持ち上げ、チラリと見て、浮かぬ顔で、ポイっとデスクに放り投げるしぐさが、それをボディー・ランゲージで語っていたような気がします。

社長は自身の弱点を、自分と似た新人君を採る、というパッチで埋めていたのです。

では、主人公・マ男君はどうでしょうか。ニート生活でグズグズしているうちに両親が亡くなってしまいました。特に母は、自分の背広を買ってくる時に交通事故にあったのです。さぞかしマ男君にもショックだったことでしょう。ですから彼は、その背広を着て就職することで、両親の恩に報い、心の傷をパッチで埋めようとしたのです。

その後、マ男君のガンバリの理由は微妙に変化しました。

その中には、中卒であることを同僚からバカにされたため、学歴コンプレックスをパッチで埋めようとして、死に物狂いでガンバッタというのもあるのでしょう。

ガンバリの理由が両親から自分自身に変化しています。親離れと言うか、これも一つの成長物語でしょう。

他の登場人物も色々な形で、心のパッチ求めて人生をうごめいているようです。よく、会社員になることは一つの歯車になることだとか言いますが、この映画では滅私的な歯車から、心のパッチに変化させているところが、より進歩したシナリオなのかもしれません。タイトルは漫画的ですが、内容は色々考えさせられるものでした。

★★★★

追記 2022.7.8 ( 「ブラック・プレジデント」 )

似たようなTVドラマに、沢村一樹さんが社長役で主演する、「ブラック・プレジデント」がありました。とても面白い作品です。

あのドラマ、一見するとブラック企業のようですが、実は微妙にそうではなく、善良な熱血社長のドラマであるという作風でした。今の基準で言えば、どうだかわかりませんが、少なくとも当時はそう思いました。

そして、この映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」からも、似たような匂いを感じたのです。

ちなみに、TV「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」も連想しますね。

追記Ⅱ 2022.7.8 ( お借りした画像は )

キーワード「シール」でご縁がありました。なんとなく楽しくなります。少し上下しました。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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