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#ネタバレ 映画「Shall we ダンス?」

「Shall we ダンス?」
1995年作品
時代
2011/9/2 13:16 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

皆さんは厄年をご存知だと思う。男女とも有るが、例えば、男は数えで42歳が一番の厄年らしい。

これは迷信ではない。

この歳はそろそろ中年になる歳である。心身ともに色々な変化が起きてくる転換期である。この時期の人は今までの自身の半生をふり返り総括する。

そして必要と判断されれば、これからの半生の軌道修正をする時期なのである。まるで遺伝子に組みこまれたプログラムの様に。

大抵はそれまでの人生経験に照らし合わせて常識的な判断をし、大事にはいたらない。しかし人生を左右する大問題を起こしてしまう事もある。だから、この時期の人はその事を自覚し、慎んで生きなければならない。又、周りの人も見守ってあげる必要がある。

ところで、この映画はそんな厄年を迎えた一人の男のてん末気である。年齢には個人差が有るので主人公が42歳で無くてもかまわない。

彼は会社の管理職、同期の出世頭である。人望も有り順調そうである。そして家庭では綺麗な奥さんと可愛い娘さんがいる。小さいながらも庭付き一戸建てを持ち、マイカーもある。まさにサラリーマンの幸せを絵に描いたような人である。

そんな順風満帆の彼がある日ふと思う。これからは住宅ローンを払いながら静かに歳をとっていくだけなんだと。ここに彼の厄年がしのびこんだのである。

彼は通勤電車の窓から愁いを含んだ一人の女を見つける。

そして、ある日とうとう電車を途中下車して彼女に会う。

彼女はダンス教室の先生であった。そして不純な動機で彼女に近づくのである。もしこれが悪い展開になれば「浮気→家庭崩壊」となる。

ところで、この映画が初めて公開されてから何年も経つが、いまサラリーマンを襲っているのが倒産、リストラである。そして、そのリストラは去るも地獄、残るも地獄(減員で仕事のノルマが増える)だという。

そんな苦しみの中にいる人の中には、自身の過去の半生はゼロになり、その上これから半生の展望も立たない。そう思う人もいるかも知れない。そこに厄年が重なれば、悲劇的な事も起きかねないのだ。そんな今の時代の雰囲気を思うと、今はもうあの映画は作れないのかもしれない。

( 2002/8/21 22:28 by さくらんぼ 、リンク切れにより転記・加筆 )

追記 ( 映画「希望の灯り」
2019/5/12 9:01 by さくらんぼ

映画「希望の灯り」が中年クライシスを描いた作品だったのなら、映画「Shall we ダンス?」(1995年)もそうでした。

ちなみに60歳ごろにも厄年はあるようです。捨てるもの、今のうちに確保しておくもの、いわゆる終活の一つですね。ここもバタバタします。

追記Ⅱ ( 40代と60代 ) 
2020/1/1 9:08 by さくらんぼ

>ちなみに60歳ごろにも厄年はあるようです。(追記より)

実は、私も60歳ごろの厄年を経験しました。

その渦中にいるときには気づきませんでしたが、それを通り抜けて、(鰯雲を見上げられるような)静かな心境になった時、ふと「あれが60歳ごろの厄年」だったのかもしれないと思ったのです。

それは人間関係のトラブルと身体の故障で、終わるまで1~2年かかりました。人間関係の方は詳しく申せませんが、身体の故障は肘と肩の故障で、腕があげられなく、歯磨きも辛い程でした。

私の場合は、40代と60代に、竹の節のように、明確なそれがありました。

特に、40代のそれが一番苦しかった。仕事上の悩みです。自由に休むわけにもいかないので、逃げ場もなく、追い詰められて、最悪の事態になってもおかしくない状況でしたが、七転八倒の末、ギリギリセーフで抜けました。

「バブルの渦中には、バブルだと気づかない」とか申しますが、それと同じだと思います。苦しみの渦中には、自分では、今が厄年だとは気づかないのです。

注意していてもこんな状況ですから、周囲の人は、ぜひ、身近な人の異変に気付いてあげてください。

もちろん、個人差がありますから、年齢も何歳だとは決めつけられませんし、何のトラブルもなく経過するラッキーな方もいらっしゃると思います。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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