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#ネタバレ 映画「街の上で」

「街の上で」
2019年作品
オフビートのコメディのよう
2021/4/22 17:51 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

タイトルはすぐ思い出せませんが、10年ほど前の年末に、何ということのない映画を観ました。

その何ということのなさが、静かに暮れていく年末らしくて…

それ以来、年末にはそんな映画が見たいと思っていましたが、待っていると、なかなか無いものです。

映画「街の上で」は、そんな事を思い出させる一本でした。

この舞台は夏ですが。。。

他人の会話を盗み聞ぎしているような、少し地味目の、オフビートのコメディを見ているようなところもあります。

130分と長めです。その上、会話ばかりの作品ですが、なぜか退屈することはありませんでした。

それどころか、標準の120分よりも10分長いことで、実のある作品になった感も。

近くの中年ご夫婦の、奥様が良く笑っておられました。

★★★★

追記 ( オフビートのコメディのよう ) 
2021/4/23 9:34 by さくらんぼ

何か気の利いたこと書きたいと思って、一晩思いを巡らせてみました。

しかし、どのシーンも楽しめたのに、なかなかヒントが見つからないのです。

不思議な作品です。

しかたなく、見開きチラシの「絶賛コメント」欄をのぞいてみました。

そうしたら、そこには20近くのコメントが並んでおり、どれもこれも、「そうそう」と納得できるものばかりでした。

皆さま(失礼ながら)ほんとうにコメントがお上手ですね。

ますます私は自信を無くしてしまいました。

追記Ⅱ ( 確かに見えない ) 
2021/4/23 9:38 by さくらんぼ

「  誰も見ることはないけど

確かにここに存在している  」

「 チラシのキャッチコピーより 」

今、ふと思ったのですが、新型ウイルスと同じですね。

追記Ⅲ ( 映画「ノマドランド」を連想する ) 
2021/4/23 10:08 by さくらんぼ

書き始めたら、少し見えてきたように思います。

私はだいたいこんな調子です。

成田 凌さんが「朝ドラ俳優」の看板をつけて友情出演されていました。

少しストーリーを言えば、主人公の恋人が主人公を捨てて走った男が、成田 凌さんなのです。お金持ちでハンサムな俳優さんと恋に落ちれば、一般人は捨てられる運命なのですね。

しかし、しばらくの後、彼女は「つまらなかった」と言って、主人公の元へ帰ってくるのです。成田 凌さんとつきあって、初めて主人公の良さが分かったというのです。

「虚像と実像」という言葉が浮かびました。私が言ったのではなく、映画がわざわざ「朝ドラ俳優」という看板を使い、言っているのです。

映画「街の上で」のチラシには、主人公が古着屋の店番をしながら読書をしている様子が写っています。読書シーンは映画の冒頭や、その他にも、重要なカギとして出てきました。

私たちは読書で本の世界に入れます。そういう意味で、それは確かに存在した世界ですが、誰も見ることが出来ないのです。

主人公は大学生が作る映画に俳優として参加することを求められますが、演技が下手すぎるので全部カットになりました。これも、撮影では確かに存在しても、誰も見ることが出来ませんね。

この映画「街の上で」は、もしかしたら下北沢の町興し映画になったのかもしれませんが、下北沢に行っても登場人物を誰も見ることが出来ないはずなのです。

新型ウイルスで私たちが感じている「喪失感」を刺激しますね。

追記Ⅳ ( 映画「森崎書店の日々」 ) 
2021/4/25 17:25 by さくらんぼ

>(タイトルはすぐ思い出せませんが)10年ほど前の年末に、何ということのない映画を観ました。
>その何ということのなさが、静かに暮れていく年末らしくて…
>それ以来、年末にはそんな映画が見たいと思っていましたが、待っていると、なかなか無いものです。
>映画「街の上で」は、そんな事を思い出させる一本でした。(本文より)

上記の作品名が分かりました。

映画「森崎書店の日々」でした。

追記Ⅴ ( 映画「森崎書店の日々」② ) 
2021/4/26 10:52 by さくらんぼ

(  以下、映画「森崎書店の日々」のネタバレです。 )

映画「森崎書店の日々」、10年前なので細部は忘れてしまいました。

でも、印象的には、「なんとなく似ているなぁ」という気持ちがあるのです。

ストーリーに少しふれます。

映画「森崎書店の日々」の主人公は女性ですが、いきなり恋人から捨てられてしまうのです(彼は同じ会社の別の女と結婚するらしい)。捨てられた理由は明らかにされていなかったと思いますが、主人公・貴子(菊池亜希子さん)は本を読まない人間だったことが明らかにされていますので、その辺り、無関係ではないように思います。

会社に居づらくなった貴子は、退職してブラブラしていました。それを知った古本屋をしている叔父・サトル(内藤剛志さん)が、古本屋の二階に住み込みで店番をしてくれないかと言ってくるのです。

もしかしたらサトルは、貴子が本を読まない人間だったことを知っていて、密かに胸を痛め、上手に忠告するチャンスを狙っていたのかもしれません。そう思っていた矢先に、貴子に何かあって会社を辞めたことを知るのです。サトルは胸騒ぎがしました。本を読まない事が遠因ではないかと。

だから、(「ドラゴン桜」ではありませんが)サトルは貴子を再教育するために、古本屋に勤めさせたのかもしれません。そして、自分で本に値段をつけさせるのです。素人が本に値段をつけるためには読まなければなりませんから。

映画「街の上で」でも主人公は読書をします。そして、主人公は(ハンサムな芸能人と浮気した恋人に)捨てられましたが、その恋人は、スマホばかり見ている(らしい)新しい恋人に熱が冷め、読書家である主人公の友へ帰ってくるのです。「つまらない」と。

さがせば他にも色々ありそうです。

オマージュか否かはまだ分かりません。

追記Ⅵ ( 映画「森崎書店の日々」③ ) 
2021/4/26 14:26 by さくらんぼ

>…芸能人の元へ去って行った恋人は、スマホばかり見ている(らしい)新しい恋人に熱が冷め、主人公の友へ帰ってくるのです。「つまらない」と。(追記Ⅴより)

映画「街の上で」のどこで、本とスマホの対比を感じたのかと言えば、映画全体に読書のエピソードがあったことの他、主人公・青(若葉竜也さん)が自主映画に出演依頼を受けて控室で待っている時です。青の他に朝ドラ俳優一人と、女優が一人がいましたが、朝ドラ俳優(後に浮気相手だと分かる)はスマホを、女優は読書をしていたからです。二人に対照的な事をさせるのには、製作者の意図があったのだと思いました。

それから…

青の出演シーンがすべてカットされてしまった後の、映画サークルの打ち上げ会では、青のお芝居の非をめぐって、サークル仲間から監督は責められていました。「なんで、あんなやつ連れてきたんだ」と。

話が聞こえて、ますます小さくなる青に、突然、サークルの女性の一人が、近づいて慰めるのです。

それどころか、二次会へ行く皆から離れ、帰ろうとする青に寄り添い、自分の家に連れて行くのです。

そして、二人っきりで深夜まで恋バナをしたのち、「泊まってく!?」と誘いをかけました。

ただし、彼女は恋人を求めているのではありません。お友だちとしてお付合いがしたいとの要望なのです。だから泊まっても何もありません。

この極めて親密だけれど、恋人とは一線を画す微妙な関係、これはなぜ、と思っていましたが、映画「森崎書店の日々」の叔父さんたちを思い出せば、納得いくような気がするのです。

追記Ⅶ ( 映画「森崎書店の日々」④ ) 
2021/4/27 11:17 by さくらんぼ

>ただし、彼女は恋人を求めているのではありません。お友だちとしてお付合いがしたいとの要望なのです。だから泊まっても何もありません。

>この極めて親密だけれど、恋人とは一線を画す微妙な関係、これはなぜ、と思っていましたが、映画「森崎書店の日々」の叔父さんたちを思い出せば、納得いくような気がするのです。(追記Ⅵより)

実は、映画「街の上で」の彼女は、最近恋人を捨てたばかりなのです。しかし、元・カレはまだアパートの鍵を持っており、彼女に未練もあり、よりを戻そうと、ときどき押しかけてくるのです。

それに困った彼女は、元カレに「新しい恋人ができたの」みたいな誤解をさせようと企んでいた節もあります。

企みがあるのは、映画「森崎書店の日々」の叔父さんに企みがあるのと同じですね。

追記Ⅷ 2022.6.22 ( お借りした画像は )

キーワード「読書」でご縁がありました。ほんとうに良い景色ですね。無加工です。ありがとうございました



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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