見出し画像

#ネタバレ 映画「ベスト・キッド」〈2010〉

「ベスト・キッド」
2010年作品
目標があれば道が定まる
2010/9/9 11:09 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

ハン(ジャッキー)が交通事故を起こしたときの事を語る、とても悲しい場面がありました。

家族とのドライブ中、ささいな事で妻と口論になり、気をとられて事故になってしまった話です。しかも、あとから思い出しても口論の理由が思い出せない。大事な問題での口論だったなら、まだ慰めも有るかもしれないが、つまらぬ問題での口論だったら…。

とかく人は、現在を漂うように生きがちです。長期的視点で、何が大切で、何が大切ではないのか、そんなことなどすっかり忘れて、目の前の仕事の処理、あるいは享楽のみに心奪われて生活しがちです。

そこに忍び足で襲い掛かるアクシデント。

気がついたときには人生の軌道が大きく変わってしい、もう取り返しがつかない。その時になって、本当に大切なものが分かっても、もう後の祭りです。

軽く一杯の飲酒運転もそうですし、歩道で歩行者をベルで蹴散らしながら走る自転車もそうです。自転車であっても歩行者に怪我をさせれば数千万円の賠償を求められることがあります。自転車も車の仲間だということを忘れてはいけません。

ところで、映画の話に戻りましょう。

漂うような生活から抜け出すには、目標を作ればよいのです。目標があれば道が定まる、のです。そうすれば脇道のトラブルにハマル事も少なくなります。

試合に出場するので、それまで手を出すな、とのエピソードには、この教訓が含まれていますし、水周りの修理をしてもらうために管理人をさがしたり、泉の水を飲むために山を登るエピソードもそうなのでしょう。

良い映画でした。オリジナルもリアル・タイムで映画館で観ましたが、ジャッキーのカンフーが本物である点はこちらが勝っています。それ以外は良い勝負でしょう。いや、オリジナルの方が少々良かったかな。

★★★★

追記 
2010/9/16 8:28 by さくらんぼ

ドレの彼女がいきなり離れて行きました。なぜでしょうか。

ドレの父親が出てきましたが、高級車に乗り、良い家に住み、風貌も紳士的で、記号は人生の成功者を表していました。

父娘の人生訓もやはり「目標があれば道が定まる」だったのでしょう。人生の成功の為にのみエネルギーを集中し、脇道へは無駄に入り込まない生き方なのです。

父娘はドレを、漂うように生きているフーテン男、だと誤解し、彼には、将来の成功は見込めない、と切り捨てたのでしょう。デートでそんな奴の悪影響を受けるなどもってのほか、といったところのでしょうね。

ところが、カンフーの試合にでるから彼女が見学に来ることを許して欲しい、と父に申し出た紳士然とした態度と、その健全で勇敢な目標に、ドレの真実の姿を見て高評価し、チャンスを与えたのでしょう。

ひとつ気になるのは彼女の態度です。好きな人と別れなければならなかったときの苦悩が描かれていません。これは、たぶん主題をハッキリさせストレートな味わいとするために、これもまた、脇道の感情表現をカットした、のだと思いました。

追記Ⅱ ( オリジナルに勝るとも劣らない ) 
2018/8/29 16:51 by さくらんぼ

この映画「ベスト・キッド」を久しぶりにTVで観ました。

そうしたら、なかなか良いではありませんか。弟子・ドレを演じたウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスさんは、決して親の七光りだけでなく(失礼)、可愛いし、演技力も達者なものです。

一方、師匠・ハンを演じたジャッキー・チェンも渋い。そして、その他の構成も、オリジナルに勝るとも劣りませんでした。

追記Ⅲ ( 基本練習 ) 
2018/8/29 16:57 by さくらんぼ

そして括目すべきは、ハンがドレに教えた、「カンフーの即席上達法」です。試合までの僅かな期間に、弱いドレを最強の選手にするための秘策が凄い。まるで「A to Z」の「AとZ」だけ教えているように見えましたが、その端折り方に萌えます。ここで私たちは、たぶん奥義である「Z」も知ることが出来たのです。

まず「A」は「上着を柱に掛けたり、着たり、床に置いたり」の動作ですね。どうやら、あれはカンフーの基本動作の練習のようです。あれを繰り返しすることで、筋肉や筋の鍛錬、そして動かすための神経回路も太くするのでしょう。まるでタッチ・タイピング(ブラインド・タッチ)の基本練習みたい。あれも神経回路を太くするためにするのです。

追記Ⅳ ( 奥義 ) 
2018/8/29 17:04 by さくらんぼ

そして「Z」(たぶん奥義)が凄い。

なんとカンフーだと思っていたら、「気」の話になって行きます。

列車の中で、二人にはこんな会話がありました。

「 ドレ:今日は何の勉強?

ハン:『氣』(「気」)だ。内なるエネルギー、命の本質。我々の体の中で、流れるように動き、力の源となる。

ドレ:スターウォーズのフォースと同じだね。ハンさんがヨーダ、僕がジェダイ。」

やがて山上の修行寺に着き、そこでドレが目撃したものは、「女性の動きを真似るヘビ」。

ハンが泉で説明します。

① 「 頭と心が、水面のように静まり返っていれば(たぶん「無心」の事)、ヘビは水に写った自分の姿を彼女の姿と思い、つられて動くようになる 」。

ドレは言いました。「どうやったら相手を操れるようになるの」と。

そう言えば「宮本武蔵」にも、無心の沢庵和尚の側を通った武蔵が、自ら出す殺気が和尚から跳ね返ったのに驚き、飛び上がるエピソードがありました。

追記Ⅴ ( 二人の動きをリンクさせる )
2018/8/29 17:11 by さくらんぼ

そして、これを応用した訓練に入ります。

②ビルの屋上で、シーツか何かを干している向こう側にドレがいて、ハンがこちらから叩きます。ドレにはハンの動きが見えないので、気配を予測する必要があるのです。

③さらに、長さ1.5mぐらいの二本の竹の棒でハンとドレの手首を繋ぎ、二人の動きがリンクするようにして組み手をするシーンもありました。

頭で考える前に反射的に指を動かす、タッチ・タイピング(ブラインド・タッチ)を連想します。私は頭との分離のために、ビールを飲んで練習しました。いわゆる酔拳です。

追記Ⅵ ( 「以心伝心」 ) 
2018/9/1 15:13 by さくらんぼ

これだけでは良く分からないので、私なりに解釈してみます。

「以心伝心」という言葉があります。「気功」の世界では、「『気』は情報でありエネルギーである」と言われています。つまり、心に思っている事は相手に伝わる事もあるようです。たぶん「視線を感じる」のもその一つですね。

④もしも、この現象を自在に操ることができるのなら、カンフーで相手のパンチの位置・タイミングを予測することが出来るのかも。サッカーでも相手のキックの位置・タイミングをゴールキーパーが予測することが出きるのでは。予測できれば防ぐことは格段に楽になるはず。

たぶん、これが②③の練習ですね。

もちろん、私は映画のように出来ません。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?