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#ネタバレ 映画「ヒックとドラゴン」

「ヒックとドラゴン」
2010年作品
反省し始めた西洋人
2011/8/20 10:16 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

愛知万博が「自然の叡智」というテーマの下に開催されました。四季の移ろいに感じられるとおり、この世は循環しています。テーマの意味は、「人間の直線的で一方的な環境破壊はやめて、今後は持続可能な循環型社会を目指し、自然と共存共栄しよう」だと私は理解しました。

もっとも、私などが言わなくとも、地震や台風の脅威にさらされたり、天候に左右される農耕民族のDNAを持つ日本人なら、いまさら自然と喧嘩しようとは思わないはずですし、むしろ自然の恵みを配当として頂きながら、元本である自然を守り、共存共栄するシステムを模索するのが賢い道であることは、直感的に理解できることだと思います。

でも西洋人には理解できない人たちもいるのだそうです。キリスト教の考え方がバックにあるらしいのですが、自然は人間が力で支配するものであり、支配される側の自然に叡智など無い、と言う考えが一般的なのだと、愛知万博の当時、何かで読んだ記憶があります。そんな西洋人には愛知万博のテーマがすぐには理解できず、解説してあげると新学説でも聞いたように驚くのだとか。

ところで、映画「ヒックとドラゴン」ではドラゴンを力でねじ伏せようとするバイキングの父たちが、そんな西洋人の記号ですね。それを力の無いヒックたちが、やむをえず自分の手法で解決していくのです。力が無いから自然の前で謙虚になれたのですね。

親の代から受け継いだ教科書の記載すべてが正解だとは限らない。むしろ教科書は基本として、新時代にはその先へ進まなければならない。その気になれば道は思いもよらないところに開ける。そして相手とは補完関係を模索すること。それがお互いへの配当をもたらす。そんなことが映画で描かれていたように思います。

前述したような理由で、この作品から日本人が受け止めたインパクトと、西洋人のインパクトはきっと違うのでしょうが、トゥースも可愛く、飛行シーンも秀逸で、もう一度観たい佳作でした。

★★★★

追記 ( 映画「冬の華」
2016/3/13 22:31 by さくらんぼ

映画「冬の華」を私は好きです。

健さんが「あしながおじさん」になる優しさが。

でも、しょせん、あれもヤクザ映画。

健さんは冒頭とラストでドスを使います。

中盤では刑務所内の喧嘩でキリを…

街ではおもいっきり顔を踏みつけます。

「羊の皮を着たオオカミ」という言葉がありますが、女子高生の前で羊を見せている健さんの本性も、ヤクザ仲間に一目置かれる凶暴なオオカミなのです。

私の日常にも、あれほど極端ではないにせよ「羊の皮を着たオオカミ」がいたことに近年驚いています。「それを言っちゃあ、おしまいよ」とか、「それをやっちゃあ、おしまいよ」な人が、男女を問わずいたのです。一流大学出の人、仕事が優秀な人、プライドの高い人の中にも(これはネットの話ではありません)。

昔の偉い人は「人は怒らせると本性が分かる」と言ったらしいですが、ほんとうにその通りですね。彼、彼女たちの羊しか見たことの無い人たちは、いまでもその笑顔に集まっています。私には、もうオオカミにしか見えないその人に。

本日のBGM 「狼なんか怖くない」(歌:石野真子さん)


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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