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#ネタバレ 映画「神は見返りを求める」

「神は見返りを求める」
2022年製作 105分 日本
2022.6.25

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

観たい作品は色々ありますが、今回は映画「神は見返りを求める」になりました。

ビタミンカラーの黄色いチラシに、楽しいムロツヨシさんと、ミニスカートの若い女子(岸井ゆきの さん)、それに意味深なタイトルとくれば、引き寄せられても仕方ありません。

しかし、このチラシ、良く見れば、右下が焦げているのです。

映画「天国にいちばん近い島」のチラシ同様、さりげなく「ヤバイ感」が潜んでいました。

ネタバレを書いていながらなんですが、この作品は前知識なしで観た方が良いかもしれません。

人生って、こんなふうに、穴に落ちていくもののような気がしますから。

★★★★

追記 2022.6.25 ( お借りした画像は )

キーワード「コンプレックス」でご縁がありました。美しい空ですね。そのままでも良かったのですが、最大倍率にして上下してみました。ありがとうございました。

追記Ⅱ 2022.625 ( コンプレックスと承認欲求 )

これは、合コンで知り合った底辺YouTuber・ゆり(岸井ゆきの さん)を、イベント会社勤務の田母神(ムロツヨシさん)が助けるお話です。

そのおかげで、ゆりは少し人気が上向いてきたので、ある日、「私にはこれぐらいしか、お返しできるものがありませんからと」、体で返そうとするのです。

父が娘に対するような気持で接していた田母神は、突然、下着姿で抱きついてきたゆりに困惑し、「いや…それは…あれだから…」の体で、やさしく断りました。

昔から「据え膳食わぬは男の恥」(断れば、たぶん女にも恥をかかせることになるので)とか言うので、おそらく、この状況で申し出を断るのは非常に難しいのかもしれませんが、田母神もせいいっぱいの誠意を見せたと思います。

しかし、田母神の誠意はゆりには通じなかったのかもしれません。

男の私に微妙な女心は分かりませんが、ゆりには容姿に対するコンプレックスがあった可能性を感じます。だから、「据え膳でも食わなかった」田母神に敬意を持つのではなく、逆に傷ついた可能性があるのです。

その辺りから、二人のボタンの掛け違いが目立ち始めます。

ゆりは田母神から離れ、人気YouTuberチョレイ・カビゴン(吉村界人さん・淡梨さん)を師として、助力を仰ぐようになったのです。田母神は雑用係になりました。

あろうことか、チョレイ・カビゴンは、ゆりの上半身を裸にし、ボディペインティングをした作品を作り、ゆりは人気者になっていきます。

ゆりにとって、コンプレックスだった容姿で人気沸騰することは、「承認欲求」の最たるものだったのかもしれません。この喜び、もう誰にも止められません。

しかし、ゆりを娘のように思っていた田母神にとっては、自分が大切に守ってあげたものを、ゆり自らが壊して行くことと感じられ、耐えられなかったのでしょう。

ちなみに、田母神にも性的コンプレックスがあった可能性を感じます。それもあって、ゆりを抱けなかった可能性も。

追記Ⅲ 2022.6.25 ( 痛いラスト )

映画のクライマックスには、YouTubeの撮影中に花火が衣装に燃え移り、全身大やけどを負って入院しているゆりがいました。顔の包帯を取ると・・・。私はこのエピソードをゆりのコンプレックの記号だと見ました。

そして、田母神は他のYouTuberとトラブルを起こし、背中を傘で何か所も刺される大怪我を負ったのです。私は傘で刺されるところに、性的な記号を感じました。

一組の性的なコンプレックスを抱えた男と女の、これは承認欲求の物語だったのかもしれません。

「見返り」とは承認欲求の事でもあったようです。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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