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【45話】人狼は誰だ【人間廃業】

~前回の続き~

イカサマ騒動があった朝から、リアル人狼ゲームが始まった。

アングラ界隈ではこの話題は当然のように一瞬で知れ渡り、このハウスと親交があった他の街のハウスにまでガサが入った。


この場合のガサ入れは当然警察のそれではなく、武力を持った団体だ。


僕達がバカラで大負けしていたのは界隈では有名な話だったので、ある意味、僕達は負けていて良かったのかもしれない。

もし、この半年間で1万円でも勝ちきっていたら、僕達も人狼の候補に挙がっていたのかもしれない。

当然ながら嫌疑をかけられる事は1ミリも無く、なんなら慰めの連絡ばかり多方面から来ていた。(全くもって情けない話だ)


少なからず関わった人間は必ず「犯人は誰だ?」という思考になる


色々な情報を多方面から聞かされ、「〇〇が黒で確定だ」とか「〇〇と〇〇がコンビでやった」とか、「〇〇が〇〇をハメようとして黒に仕立て上げた」とか、まぁ大体の人が同じような事を言っていた


僕は法的に市民権を持っていない市民だ。


警察に「バカラ受けたらイカサマされました!助けてください!」なんて泣きつけるわけもなく、反社会組織でも無いので武力行使をする権力も腕力も無い。(実際僕の腕は女くらい細い・・)


誰が犯人とわかった所で、失ったお金は帰ってこないのだ。


こんな事があっても、容疑に挙がった人(人達)を、誰も憎む事はできなかった。


それはサラリーマンを引退し、この世界を経験して、業界の先輩として尊敬していた人であり、人達であった。


無礼を働いた事なんて一度も無いと自覚している。


だからこそ天晴れだった。


ハメられたのは僕達の目が黒く無かっただけ、身内のパーティーゲームでは無く、それはあくまでもアンダーグラウンドな盆であった。


この世界で生き抜く為には、自己防衛もしなければならないし、人によっては身内も喰うつもりで生きていく人もいるだろう。そしてその考えの人にとってはそれが正義であり宗教だ、道徳心なんて犬に食わせろのこの世界で、それを誰も否定する事はできない。


「神はいつだって留守だ、休暇取ってベガスに行ってる」


もしこの世界で秩序があるなら、それを作るのは武力を持った組織だ


逆にヒラでゲームが行われ、例えば2~3000万くらいでもゲームに勝ち切ったとしよう。僕達は謝る事なんて絶対に無い。儲かると思ってやっている以上は悪びれる必要なんて無い。ベットするのはプレイヤーの意思であり、このゲームがハウスにエッジがあるのはギャンブルを知っている人間なら百も承知なのだから。


ここまで読んでたくれた人にはつまらないオチで申し訳無いのだが、僕達は全てを水に流した


結局犯人もわからないし、それを知ろうともせず、その後どうなったかも聞かない事にした。


もしどこかでこのフィクションを読んでいる犯人が居るなら、どうか安心して欲しい。あなたを恨まないし、寧ろ、勉強になりましたと言わせて欲しい。


そしてその信念を貫いた先に、大金を手にするのか、はたまた反社会勢力に恐喝を受け大金を失う事になるのか、それとも誰かに殺されるのか、草間の影から応援する事にしよう。


綺麗事にも聞こえるだろうし、読んでくれている人たちは信じられないかもしれないけど、僕は本音でそう思っている。


さて、この話はここでお仕舞い。


・・・と見せかけて


今現状はというと、


実はプレイヤー側として毎晩のようにカジノ側を仲間達と殴っている


アングラでは無い、国に許可を取っている合法的なカジノからだ


それもイカサマなんてもちろんしていない。


あくまでも合法的にだ


そんな胡散臭い話をこの記事にだらだらと書くつもりは無いが、これだけはノンフィクションと言っておこう。


俺は俺の信じた仲間達と全員でウマい飯を食いたい。


そして面白おかしく生きて、死んでいきたい。


その為ならなんだってやってる。


Winner Winner Chicken Dinner


~続く~

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