リアリストとファンタジスタ

たぶんファンタジスタの使い方間違ってると思う。

私は結婚している。結婚4年目になる夫がいる。夫とはTwitterを通じて知り合った(この話をすると親戚中から現代だねぇと言われる)

お笑いが好きで、特にラーメンズが好きだった私は夫と仲良くなるにつれ猛アタックして付き合うことになった。

まぁ馴れ初めは誰も興味無いのでいいとして。

付き合いが長くなるにつれわかったことがある。

彼は大変「現実主義」であるということだ。

ファンタジーを嫌っているとすら思う。「そんなものないじゃん」でファンタジーの扉が閉まって、小さくなってどこかへ行ってしまう。

マンガを読んではいるようだが、大概現実に近い、会社員成り上がり系?のマンガしか読んでいない。ドラマも一緒に見るが、日曜劇場系の町工場の職員が頑張るやつとか、銀行員の勧善懲悪ものとか、そういうのだ。

変わって私はファンタジーが大好きだ。ハリーポッターも映画だけでなく原作も最後まできちんと読んだし、アニメや漫画も異世界ものとか、剣と魔法の、みたいなやつが好き。以前noteで書いたAVも体が入れ替わるとか、催眠術ものとか、んなわけあるかい!みたいな企画ものの方が好きだと話した。この話は要らなかったか。

現実主義が悪いなんてひとつも思わない。しかしこの前決定的なことが起きた

ジブリパークに行きたいと話した。夫も行きたいと言ってくれたので、「では行く前に予習としてジブリ映画を見よう」と提案した。すると彼の表情は曇り、そして私の目を見てキッパリと言った。

「作品を見るのが苦痛」「作品にはひとつも興味は無い」「作品を見なければジブリパークに行っちゃいけないのか」

本当に驚いた。ショックだった。え、作品の内容を知らないでジブリパークに行って何が楽しいの?建物やグッズも、恐らく作品の内容に触れたものだろう。彼は何を言っているのか。

さらに畳み掛けるように言われた言葉に私はまた混乱した。

「トトロの内容は知りたくもないけど、トトロのグッズは可愛いから欲しい」

彼は何を言っているのだろう。え、この世にないものは嫌いなんじゃないの?現実にトトロはいないのになぜトトロのグッズは欲しいのか。

ここからかなり長い時間、私は彼の考えを理解したくて話を聞いた。物語には興味が無いけどトトロなどの「見た目」が可愛いから「現実に実在する」グッズは買いたいということだった。

ここまで言われても私には作品の内容を理解した上でジブリパークに行った方が楽しいのに。ひいてはファンタジーが嫌いならなぜそもそもジブリパークに行きたいと言ってくれたのか、ファンタジーを好きな私は全否定か、とまで考えが飛躍した。私は大人になっても未だ中学生のようなネガティブを引きずって生きている。

彼は「じゃあ例えば、登場人物の誕生日まで知っているほどのジブリマニアがあなたの事を見て、誕生日も知らないようなやつがジブリパーク来るなよって言われたらどう思う?俺はキャラクターの可愛さは理解してるし、この世に存在するぬいぐるみとかは欲しい、でも作品の内容はどうでもいいと思ってる。これでもジブリ好きって言っちゃダメなの?好きの度合いをファン同士で比べ合う必要ってあるの?」

……オタクをしてて最後の一言は苦しいほど刺さった。良いオタクとしてありたいからそこだけは気をつけようと思ってたことなのに。私はやっと理解した。ファンタジスタ敗北。

そーいや私もハンギョドンのこと好きだしグッズも買うのにハンギョドンの誕生日もどういうお話かも知らない。それと一緒やんけ……とここから猛省。彼の言うこと全てが正しいと盲信する訳では無いが、彼はいつも私に新しいものの考え方を教えてくれる。

彼はさらに「ファンタジー好きなあなたの事をもちろん否定なんてしない。そんなものいないだろ、と思うのは俺自身の考え方なだけで、あなたの好きな物や好きであることは誰からも否定なんてされないんだよ。俺はジェットコースター大好きで、あなたとも乗りたいと何度も思ったけどあなたが苦手なの知ってるから誘うことは無い。だからジブリ映画は一人で見て?」

もう何も言い返せなかった。言い返すことが特になかった。

かなり気が合う、考え方が似てる、なんて思って夫と結婚したが、なんなら真反対だった。彼はリアリストで超がつくほどの楽観主義、私はファンタジスタで情けないほど悲観主義だ。よくもまあ出会えて仲良くなったもんだ。

これからもこういう真反対な意見がぶつかるだろう。私も彼もお互いを理解したいと思って歩み寄る。にじり寄る。合わせるところは合わせて、譲れないところは譲らない。それでいい。

ぶつかって彼の意見を聞きたい、理解したいと思えるくらい、私はきっと彼が好きなんだろう。


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