見出し画像

目標を切り替えなければコロナ禍は終わらない。

(2021.7.21)

一時ワクチン先進国、ワクチン戦勝国と言われた世界で最もワクチン接種が進むイギリス。その現況を皆さんご存知だろうか?

実はいったん新規陽性者が激減し、日本を下回るくらいにまでなったが、6月初旬ころから

急激に増加して、7月初旬には2万人を超え、今は一日4~5万人レベル。

画像1

そこで何をやったか。日本であれば規制強化だろう。

だが、イギリス・ジョンソン首相は全く異なる決断をした。2万6千人の新規陽性者が出ていた7月5日に、マスクを含むほぼすべての規制を7月19日から廃止するという宣言を行い、仮に1日5万人に増えてもこれを実行すると力強く語ったのだ。

その後、陽性者は予想通り増え続け、7月16日には5万1,311人、17日にはさらに増えて5万4,205人になったが、ジョンソン首相は予定通り19日から規制撤廃、若者はナイトクラブで大騒ぎをした様子が一部メディアで伝えられた(FNN)。

なぜイギリスがそうしたかといえば、明確にゴールを切り替えたから。

上記グラフを一目見ればわかるとおり、いくらワクチンを打っても感染防止はできず、陽性者数の増減は繰り返されるが、重症者と死者の割合は低く抑えられる。この効果によって、コロナウイルス感染症が社会や医療体制にとって脅威の感染症であった時代は終わりを告げた。

だから、「コロナとともに生きていく」という新しい時代を作る」ことにジョンソン首相は目標を切り替え、それを宣言してその通り実行したのだ。

ワクチン接種を進めても、感染そのものを抑え込む(新規陽性者数を減少させる)ことが無理なのは、ワクチン戦勝国のツートップのもう一角、イスラエルでも証明された。

イスラエルでもイギリスと同じく、一時抑え込んだと思われていた感染が再び拡大している。そして、ワクチン接種が進んだ20歳以上の新規陽性者における「ワクチン非接種者」と「ワクチン接種者」の比率は、以下の通り推移している。

画像2

驚くことに、6月初旬ころには新規陽性者のほとんどを占めていたワクチン非接種者の比率は下がり、現在の流行のほとんどは「ワクチン接種者」が主流になっているのだ。

これらツートップの国の推移を見ても、ワクチン接種をいかに進めても「陽性者」自体を減らすことは不可能であることは一目瞭然。ワクチンで感染予防まではできないのだ。

では、日本はどうすればよいのか。答えは簡単、目標を切り替えれば良いのだ。

ワクチンは感染予防はできないが、重症化や死亡の減少効果はかなりある。今、第5波の予感とやらで大騒ぎされている東京都も実は、新規陽性者数が拡大してしばら経つが、重症者や死者は一向に増えず、死者が0人や1人の日もある。

それは、最もワクチン接種が必要な高齢者層にはすでにかなりの割合(1回目接種は8割近くが終了)に行き渡っているからだろう。

画像3

だから、日本は国民全体のワクチン接種率はイギリスの半分以下でも、元々のファクターX(土着コロナウイルスによる交差免疫説が有力)もあって、イギリスをもっと良好にしたような状況にすでにあるのだ。

画像4

小池都知事などはこれを本当は理解していて、海外マスコミには

「多くの方々のワクチン接種が進み、今後も10日間でかなり進んで行くので変化が生じていて、高齢者の重症化率がぐんと減っている。亡くなる方もほぼゼロ、大変少なくこれまでとは様相が異なって来ている。医療提供体制も整えている。素晴らしい大会になるよう東京都として努力」(ロイター

とまで語っている。

結論。今政治がやるべきことは何かは明らか。

連日「新規陽性者数」だけで騒ぐマスコミはさて置くことにして、ジョンソン首相のような強力なリーダーシップで、

「死亡者は激減したので、フェーズが変わった。これからは正常化の道を歩むべきとき。」

と総理が宣言して、感染症分類も5類に落とし、世界でもっとも良好な感染状況にふさわしい政策に切り替えるべきなのだ。今、それをやらなければ、永遠に日本だけが「コロナの殻」に閉じ込められたままだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?