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あおヤギさんからの手紙#9 国民にとって幸せなデジタル社会とは

こんにちは、衆議院議員の青柳陽一郎です。
関東では桜が開花し、春のあたたかさを感じられる季節となってきましたね。

さて、3月10日衆議院議員会館会議室に於いて科学技術・イノベーション議員連盟(会長 あおやぎ陽一郎)はオードリー タン台湾デジタル大臣を招いて「台湾における危機管理のIT利活用、デジタル政府の現状と今後の取り組み」と題し特別講演会をリモート開催いたしました。

科学技術・イノベーション議員連盟とは?

科学技術の振興とイノベーションの創発は日本経済の発展と国民生活の向上に欠かせないもので、これを国の政策として何が必要なのかを研究し政策提言に役立てていこうという共通認識を持った議員の集まりで、立憲民主党と国民民主党のメンバーを中心に56名が参加しています。設立3年でこれまでデジタルから教育、医療、宇宙まで幅広く36回の勉強会を実施しています。また、先進的な取り組みを行っている現場の視察も行うなど永田町に数ある議員連盟でもとりわけ精力的に活動しています。
私はその”議連”の会長を務めているのです。

余談ですが、私は第三次小泉内閣(2006年)の科学技術・IT担当大臣の政策秘書を経験し、その中で日本ベトナム科学技術協力協定の実現やアジア科学技術大臣会議創設に取り組んだ一人です。そのことが縁となって今では日ベトナム交流の最大の祭典として定着している「ベトナムフェスティバル」を主宰しています。

わかりやすいキーワードと明確なメッセージがあるプレゼンは流石!

今回リモートによる特別講演の講師としてお迎えしたオードリータン大臣は、若き天才プログラマーとして知られ、蔡英文政権の目玉人事として台湾デジタル大臣に就任しました。その明確なビジョンと斬新な手法により新型コロナウイルスにおけるマスク不足の解消など今や世界中から注目されています。
私はコロナ危機の直前、2019年12月の台湾出張の際、幸運にもタン大臣と面談する機会を得ました。

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そのご縁もあり今回の特別公演が実現したのです。

講演では、台湾におけるデジタル化の取り組み、新型コロナウイルス対策などFAST・FAIR・FUNをキーワードに具体的事例を示しながらデジタル社会の意義をわかりやすく話してくれました。特に台湾のコロナ対策では、マスクの流通データを公開しマスクが買える店舗がリアルタイムで分かる地図アプリの開発を主導し、アプリ開発の過程では、国民からの指摘や課題を吸い上げ、国民とともに修正と普及を進めるなど民主主義におけるデジタル化は国民と政府の信頼関係が重要と指摘し、まさにデジタルが間接民主制の欠点を補完すると話してくれました。

さらに「青銀共創」というキーワードも。これは、青=若い世代と銀=高齢世代がともにデジタル社会をつくっていくこと、高齢世代が使えないデジタルはデジタルに非ずというメッセージも強く打ち出しています。
私は今回タン大臣からのこうしたキーワードとメッセージが多くの国会議員と共有できたことはとても有意義だと確信しています。

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コロナ危機がもたらした日本社会の課題

日本は今コロナ危機の最中にあります。この危機で日本社会の課題が改めて浮き彫りになりました。進まないテレワーク、突然の休校措置に伴う教育現場の混乱、給付金や支援金の遅れ、オンライン診療の制約、COCOAの不具合、マイナンバーの利用停滞とマイナンバーカードの普及の遅れなど枚挙にいとまがありません。特に霞が関と国会の旧態依然とした慣習・前例踏襲主義はそこで働く議員の一人として大きな責任を感じています。

範を示さなければならないものが範を示さずに国民に自粛やテレワークを要請しても真の理解はいただけません。まずは塊より始めよ、私たちがデジタル化オンライン化に本気で取り組まなければならないでしょう。そして必要な法整備、法改正、予算措置を実施していかなければなりません。コロナであぶり出された課題を一つひとつ国会で結果を出していきたいと思います。その一つが医療改革です。このテーマはまた次の機会に取り上げていきたいと思います。
 

デジタル社会形成基本法案・デジタル庁設置法案、衆議院提出 

オードリータン大臣講演会の前日、折しもデジタル社会形成基本法案・デジタル庁設置法案が衆議院に提出され、菅政権肝いりの政策がいよいよ本格審議に入ります。

しかし、そもそもデジタル社会の理念や理想が国民に共有されているでしょうか?菅総理は国民にデジタル社会の便益を国民に分かりやすくメッセージを発信しているのでしょうか。

社会のデジタル化は、国民と共に民主的に発展させていくべきです。そのためには政府が国民からの信頼を得ることがなにより重要です。安倍政権から菅政権で続く国会での虚偽答弁や隠ぺい、公文書の改ざんなど目に余る言動により国民との信頼関係が築けているとは到底言えません。透明・公平・公正・オープンな環境を政府が率先して作っていかなければなりません。

デジタルはあくまでツールであり、真のデジタル社会は信頼のその先にあるのです。残念ながらデジタル関連法案はスタートから躓きました。45か所にわたる間違いが法案にあることが発覚しました。それを直前まで隠していたのです。この事態は与党からも懸念が表明されています。デジタル化は時代の要請です。これから始まる法案審査できちんとした議論がなされ、あるべきデジタル社会に資する法律になることを期待し私も役割を果たしてまいります。

参考:首相官邸HP デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要

日本が目指すべきデジタル社会とは

今回のオードリータン大臣がまさに示した通り、私は真のデジタル社会とは、世代を問わず便利さと温かさを実感できる取り組みで、デジタルがデジタルとして意識されないツールになっていくこと、そして国民と政府が信頼関係を築き、民主主義を補完できるシステムとなること、その理想の実現に尽力していきたいと思います。

衆議院議員 青柳陽一郎