見出し画像

アイヌの自然と共に消えてしまったユーカラ

『アイヌ神謡集』

アイヌの民たちが語り合い、口伝えに謡い継いできた美しい言葉と物語。伝承を後世に残し、アイヌを知る多くの人々に読んでほしい。進みゆく世に抗し、熱き思いと希望を胸に知里幸惠(一九〇三‐二二)が綴り遺した珠玉のカムイユカラ。新たな解説を付す補訂新版。
目次
梟の神の自ら歌った謡「銀の滴降る降るまわりに」
狐が自ら歌った謡「トワトワト」
狐が自ら歌った謡「ハイクンテレケ ハイコシテムトリ」
兎が自ら歌った謡「サンパヤ テレケ」
谷地の魔神が自ら歌った謡「ハリツ クンナ」
小狼の神が自ら歌った謡「ホテナオ」
梟の神が自ら歌った謡「コンクワ」
海の神が自ら歌った謡「アトイカ トマトマキ クントテアシ フム フム!」
蛙が自らを歌った謡「トーロロ ハンロク ハンロク!」
小オキキリムイが自ら歌った謡「クツニサ クトンクトン」
小オキキリムイが自ら歌った謡「この砂赤い赤い」
獺が自ら歌った謡「カッパ レウレウ カッパ」
沼貝が自ら歌った謡「トヌペカ ランラン」

映画『カムイのうた』を観て興味を持った。

最初はKindleの青空文庫で読んでいたのだが、最初ローマ字で面食らったが、アイヌの発音通り書いてあるのだった(ただローマ字なのでイントネーションや抑揚などはわからない)。それと日本語の和訳が付いていて、岩波文庫では見開きでローマ字と和訳なので読みやすい。ローマ字はあまり読んでないのだが(というか読めない)。

謡だから、アイヌの人の声は失われてしまったのだろう。序文が映画の中でも引用されていたのだが、そこが「青鞜」の宣言文(女性は太陽であった)のようで興味深いのだが、少数民族が日本という多数民族に虐げられて声を奪われてしまったということが書いてある。それは北海道という自然の神々の世界を帝国の開発で破壊してしまったということなのであった。だから失われたユーカラの声は再現出来ないのだろう。

北海道の近代化とともにアイヌが愛した自然は破壊されて失われて行った。その喪失した声の文学であり、ローマ字表記はもはやユーカラを再現出来るものではない白骨のようなものだ。

そこに日本語の翻訳として物語が書かれてあるのだ。イソップ物語のようで、自然の神々(アイヌ)の中にも位があったり悪い神もいて愛らしい動物や自然のの姿が描かれている。ほんらいをそれらは謡としてアイヌの人々の自然の歌声だったのだ。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?