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ベスト・バス映画

『君を想い、バスに乗る』(2021/イギリス)監督ギリーズ・マッキノン 出演ティモシー・スポール/フィリス・ローガン


解説/あらすじ
最愛の妻を亡くしたばかりのトム・ハーパーはローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の壮大な旅に出ることを決意する。目指すは愛する妻と出会い、二人の人生が始まった場所―。行く先々で様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、妻と交わしたある”約束”を胸に時間・年齢・運命に抗い旅を続けるトムは、まさに勇敢なヒーローだ。愛妻との思い出と自身の”過去”ばかりを見つめていたトムが、旅を通して見つけたものとは…?

これは傑作映画。バス映画ではベスト3に入る。『ユリイカ』と、あと一本。思いつかない。原題は『ザ・ラスト・バス』。例えばロードムービーの流れが『パリ、テキサス』で始まるとして、ラストに来るのはこの作品みたいな。90歳の老人が妻を亡くした為に故郷に帰る。

その秘密が明らかにされるのは最後のシーンなんだが、オープニングが50年代の青春映画風でカッコいい。ふたりともロングコートを着ているのだが女性の方がおしゃれな山吹色(英語でなんというのだろう?)駆け落ちのような感じでイギリスからスコットランドへ。

スコットランドは老人フリーパスでバスが乗り放題で行くのだが途中イギリスでは、それは使えないと降ろされてしまったり、途中でイスラム女性をからかうヘイトの男と闘ったり、ウクライナ人の結婚記念日に招待されたり。その先々でSNSで話題になり、ラストのランズエンドでは大勢の歓迎を受ける。ロードムービーの王道の道々での交流と老人が死ぬ前に目的地に行かなければならない決意とが感動を呼ぶ。

SNSで歓迎を受けるシーンは無くても良かったんだけど(盛り上げる為か)、その目的を果たすシーンでは涙が止まらなくなる。自殺するのかと思ったが違った(日本だとこのパターンだろうが)。やっぱ最初の50年代の雰囲気の追想の映画なんだけど、老人受けは間違いない。

ティモシー・スポールの老巧な演技は泣かせる。


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