難解な象徴詩の世界
『西脇順三郎コレクション〈第3巻〉翻訳詩集―ヂオイス詩集 荒地/四つの四重奏曲(エリオット)・詩集(マラルメ)』
このへんのモダニズムの詩は難解で。ジョイス(ヂオイスと表記)、エリオット、マラルメときたもんだ。西脇順三郎は難解な象徴詩を書く人でこのへんの文学の学びだったのかと思った。
大江健三郎「晩年の仕事」からエリオットの詩「四つの四重奏曲」は西脇順三郎からの翻訳詩で興味引かれたのだが、エリオット「荒地」もあった(詳しい解説付き)。
このへんの影響を日本の戦後詩人「荒地」派たちは焦燥化した日本(それはアイルランドの土地であった)を見て詩を創造した。またフランス革命からも荒廃した世界と過去の調和世界(キリスト教以前)の影響を与えた象徴派詩人としてマラルメがキリスト教文化と辺境の文化(ギリシアとか、ディオニソスの詩)の象徴性という詩を確立していくのだった。マラルメの象徴詩の影響は初期キリスト教とそれ以前の巫女的なディオニソス宗教世界の衝突を描いている。「サロメの絵」の話とか(「エロディヤード詩篇」)。
象徴詩は古典(聖書やギリシア神話)を題材にリニュアル(ルネサンス)していく。リリーディングからリライトしていく文学は大江健三郎の「晩年の仕事」のテーマだった。
ジョイスでは左川ちかが散文に翻訳した「室内楽」が載っていた(西脇順三郎はその翻訳を称賛していた)。このへんの翻訳が後世の文学に与えた役割は大きい。
あとジョイスでは『フィネガンズ・ウェイク』の冒頭「アナ・リヴィア」を翻訳していたんだ。これは凄いよね。これを読めただけでも収穫あり。図書館本なんで返却するのが残念だ。
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