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ラム酒で酔っぱらったような映画

『LAMB/ラム』(2021/アイスランド/スウェーデン/ポーランド)監督ヴァルディミール・ヨハンソン 出演ノオミ・ラバス/ヒルミル・スナイル・グズナソン/ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン

解説/あらすじ
山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた二人は、”アダ”と名付けその存在を育てることにする。奇跡がもたらした”アダ”との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく―。

映画サイトの評判がいいので観に行ったが、これは評価分かれると思う。カルト映画好きには受けるかもしれない。なによりストーリーの展開が不親切なんでなんでよくわからないところがあるのだ。しかし、そのわからないところがシュールで面白い。ダークファンタジーなんだけど。

セリフが少なく主演のノオミ・ラバス演じる羊飼いの妻がよくわからない人だった。それは子供を亡くすという喪失感から来る行動だと思うのだが、最初にその説明がないから、あまりにも唐突に羊子供が出てきてびっくりする。それがわかるのはある程度成長してからなんで。実の母羊の子供を奪われた鳴き声がなんとも恨めしくいい。

良いと思う点はセリフが少ないから緊張感がある。そしてセリフがなくてもわかる映画になっている。ストーリーがわからないことと矛盾するようだけど、推理する余白がありその答えは後に出てくるのでわかるということ。それでも分からんみたいな。羊男のリアル映画です。

映像で見せるのはサッカーのシーンでアイルランドが負けているTVを見る三人(夫婦と夫の弟)のリアクションが面白い。サッカーに熱中している国民はどこも同じリアクションだな。そのすきに羊子供が外に出歩いて、牧羊犬が殺されたり。不穏なことばかり起こるのだ。最後はそういうことだったのかと納得出来るように作られている。それでもすっきりしない後味の悪さ。それが持ち味の映画なんだけど。


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