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もっと観たかったような普段見る映画とは違う

『海を待ちながら』(ロシア、ベルギー、フランス、カザフスタン、ドイツ、タジキスタン/2012年)監督バフティヤル・フドイナザーロフ 出演エゴール・ベロエフ、アナスタシア ・ミクリチナ、デトレフ・ブック

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2015年に急逝したフドイナザーロフの遺作。半世紀で10分の1にまで干上がってしまった、カザフスタンとウズベキスタンにまたがる大湖・アラル海を舞台に、彼の中央アジア人としての思いが投影された壮大な夢の物語。

〈story〉船長のマラットはアラル海を航海中に大嵐に遭遇し、妻や仲間を失い、一人生き残った。心に傷を負った彼はある決意を胸に、今では干上がってしまった海に戻り、荒野に佇む自分の船と対面する。そして船を引きずって水のない海を横断する無謀な旅に出る。贖罪を求め彷徨うマラットはどこに行き着くのか。

神話的なカザフタンの映画。タンジキスタンかな。そのへんだ。アラル海という湖なんだが海のような湖が砂漠化で干上がってしまったので、そんな現実を物語化したファンタジー。

大嵐で船が難破した船長が死者は生きていると信じて、難破した砂漠に打ち上げられている船を一人で引張り海に出るという話。その事故で最愛の妻もなくしたのだが、その妹が船長と結婚したがっていた。父親もそうさせたいようなのだが、亡き妻は生きていると信じている。村人からも殺人者呼ばわりされるが、絶対に彼らを向かいに行くと船を出す。力技の作品

これは最後に新訳聖書(マルコだったか?)からの物語とわかる。イスラムじゃないのかと思った。

『カーブルの孤児院』(デンマーク、フランス、ルクセンブルク、アフガニスタン/2019年)監督・脚本:シャフルバヌ・サダト 出演クドラトラ・カディリ、セディカ・ラスリ、マシフラ・フェラージ


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1991年生まれのアフガン人監督が描く、思春期の少年達の群像劇。今に続くアフガニスタンの諸問題が見える。ボリウッド映画を踏襲したミュージカルシーンや、中央アジアの文化要素が入ったシーンなど、アジアの交差点の特色も映える。

〈story〉1989年、長年にわたって軍事介入していたソ連軍の撤退が迫る中、街の映画館は相変わらず賑わっている。インド映画が大好きなクドラットは学校にも行かずダフ屋をしていたところを捕まり、孤児院に入れられる。そこには不良もいるが、理解ある教師がいて、親友もでき、モスクワにも行ける。だが、国には新たな混乱が訪れようとしていた。

これはとんでも映画だった。アフガニスタンがソ連からイスラムへ変わる頃の映画。孤児院でソ連教育を受けているが、ラスト近くでイスラム過激派が乱入、少年がランボー化するという「怒りのアフガン少年」かという映画。インド映画の影響があり、途中でミュージカルになったりするのが唐突すぎれ笑える。

先生がイスラム過激派に銃で撃たれるのだが、急に歌い出して踊って、そんなシーンじゃないだろう、医者を呼べと思うのだがすでに回想シーンになっていた。

そこから少年がバーフバリ並に強くなるのはストーリーとして破綻しているが面白い。シリアスなシーンとかあるのに、レーニン廟のレーニンとかソ連の本(マヤコフスキーの詩)の焚書とか弾薬が爆発して少年が自爆するとか孤児院のイジメ問題とか。

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